Number ExBACK NUMBER
「大事なのは本人が何をやりたいか」藤澤五月を“変身”させた女性トレーナーが大会後の“世間の声”に思うこと…「カーリングにも活きないはずがないんです」
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byYuki Suenaga
posted2023/08/10 11:02
藤澤五月選手のバキバキボディを作ったトレーナーのマムシ〇口子(まむしまるくちこ)さん
チャレンジはカーリングにも活きるはず…外野の声は関係ない!
――大会後には、打ち上げをやったりしたんですか?
マムシ やりました! 藤澤さん、お酒が飲みたかったそうで、居酒屋でグビッとひと口飲んだ時の表情は最高でした。お酒は、カロリーもあるし肝臓に負担がかかるので、大会まではNGなんです。翌日も一緒にドーナツを食べたりして、二人で解放感を味わいましたね。
――今回のボディメイクは、今後の藤澤さんのカーリング人生にどのような影響を及ぼすと思いますか?
マムシ 「“見せる筋肉”と“使う筋肉”は違う」などと言う人もいるのですが、筋肉があればあるほど出力が上がることは確かで、ないよりあったほうがいい。だから、体のアップデートをして扱える重量が上がったことは、カーリングをプレーする上でもプラスになると思っています。
何より大きいのは、メンタル面での変化ではないでしょうか。藤澤さん自身、「未経験のことに挑戦して、新しい自分になれたのは、大きな自信につながりました」と言っていました。カーリングとボディメイクはまったく別の競技ですが、「私、なんでもできるんだ!」というポジティブな気持ちは、大事な局面で自分を信じたり、困難に打ち克つ強さを与えてくれると思うんですよ。
――藤澤さんのボディメイクは大反響を呼び、彼女のチャレンジを称賛する声が上がる一方で「前のほうが良かった」といった意見も見受けられました。
マムシ これは藤澤さんではなく私個人の意見ですが、外野の声はあまり重要ではないと思うんですよ。大事なのは、藤澤さんが何をやりたいのかであって、“あなた好みの人間になるために生きているわけじゃないし”……というところが本音かもしれません。
それに、彼女の場合、すでに高い知名度がある中で、まったく別のフィールドで挑戦するのはプレッシャーもあったと思います。ボディメイクに失敗して結果を残せなければ、立場上、批判されかねない。そういったリスクを承知のうえでチャレンジし、見事にアスリート魂を見せてくれた彼女には、尊敬の気持ちしかないですね。
――この先、藤澤さんがまたボディメイクに挑戦するかどうかは明らかにしていませんが、もし再挑戦したら、今回以上の結果を残しそうですね。
マムシ それは間違いないでしょう。というか、もし同じ大会に出たら、私、勝てるかわからないですもん(笑)。プレッシャーに打ち克つ力、限界まで努力し、しんどい局面を楽しむ姿勢――。彼女の挑戦は、コーチである私にも様々なことを教えてくれました。大会後、藤澤さんは「すごく楽しかった! ありがとうございました」って何度も言ってくれたんですが、私のほうこそ、この先のボディメイク人生の糧になる気付きを与えてくれた“さっちゃん”に、感謝の気持ちでいっぱいです。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。