Number ExBACK NUMBER
「大事なのは本人が何をやりたいか」藤澤五月を“変身”させた女性トレーナーが大会後の“世間の声”に思うこと…「カーリングにも活きないはずがないんです」
posted2023/08/10 11:02
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph by
Yuki Suenaga
かつて、これほどまでに“大変身”を遂げたオリンピアンがいただろうか。カーリング女子日本代表として平昌五輪で銅メダル、北京五輪で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレの藤澤五月選手。7月、国内最大規模のアマチュアフィットネス団体「Fitness World Japan」(FWJ)が主催するボディメイクコンテスト「MOLA CUP」のビキニに登場し、ノービスで3位、オープンで2位の好成績を残すと、その鍛え上げられた肉体が日本中の度肝を抜き、大きな話題を呼んだ。
トレーナーとして彼女を指導した筋トレ系YouTuber・マムシ〇口子(まむしまるくちこ)さんが、そのトレーニングの全貌を明かす。第3回は、大会当日の様子や、褐色の肌の秘密、今後のカーリングへの影響について語ってもらった。(NumberWebインタビュー全3回の3回目/#1から読む)
◆◆◆
――藤澤さんが大会に出ることを決めたのは、4月末。この時点でトレーナーとして勝算はありましたか?
マムシ 本当のことを言うと、この時点では、私は内心、大会で通用するレベルにまで仕上げられるかが不安だったんです。でも、6月下旬頃には、かなり体が仕上がってきて「これはいける!」と確信していました。
体の基盤があったことはもちろんですが、藤澤さんはトレーニングに慣れているので、鍛え方が上手いんですよ。狙った筋肉にピンポイントで力を入れて、大きく育てていくのが上手で。実際に会えるのは1カ月に1~2回でしたが、会うたびにどんどん体が絞られてきて、私も驚いたほどです。
あえて険しい道に挑戦する「五輪メダリスト魂」
――FWJの「MOLA CUP」に出場することは、藤澤さん自身が決めたんですか?
マムシ そうです。「MOLA CUP」のビキニ部門の中でもレベル別にクラスが分かれていて、どれに出場するかについても彼女が自分で決めました。一番初心者向けとして「ノービス ファーストチャレンジ」という初出場だけがエントリーできるクラスがあり、このクラスなら確実にメダルが獲れるだろうと思いましたが、藤澤さんは、あえてそれを選ばなかった。
彼女が出場したのは、最もレベルの高い「オープン」と、その次にハイレベルな「ノービス」です。ノービスには、過去にオープンで6位以内に入賞したことがある人は出られないのですが、最近ではノービスとオープンにエントリーして両方とも優勝したりするケースもあるので、どちらもレベルが高いといえるでしょう。
また、1日でいくつものクラスに出場することになると、時間が経つにつれてむくんできたりするので、コンディションを保つのが難しい。そのため、できるだけ出場クラスを絞るのが得策。そう考えた時に、彼女が照準を定めたのが、一番やさしいクラスではなく、ノービスとオープンだったというわけです。あえて険しい道に挑戦するところが、さすが五輪メダリストだと思いましたね。
――大会直前には、食事以外の調整はありますか?
マムシ 最後の1週間は、東京でコンディションの調整をしました。一緒にお風呂やサウナに行って、体から水分が抜けた後の皮膚の感じをチェックしたり。朝起きたての時はむくんでいても、水分が抜けると、血管がはっきりと見えて、体がよりシャープに美しく見える。藤澤さんはすごく代謝がよくて、水分も抜けやすいので、どのぐらいの状態がベストなのかを相談したりしました。