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“衝撃のチョーク”に朝倉未来の顔が歪んだ…ワンサイドの“ギブアップ負け”はなぜ起きたのか? RIZINケラモフ戦後の「目標? ないです」発言の真意 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2023/07/31 11:54

“衝撃のチョーク”に朝倉未来の顔が歪んだ…ワンサイドの“ギブアップ負け”はなぜ起きたのか? RIZINケラモフ戦後の「目標? ないです」発言の真意<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

不完全な体勢ながら朝倉未来にチョークを極めようとするケラモフ。勝敗を分けたのは、想定外の「絞める強さ」だった

苦痛に顔を歪め…朝倉まさかのギブアップの瞬間

 朝倉は右足を前にしたサウスポーの構え。ケラモフはオーソドックスで左足が前になる。試合が始まると何発か蹴りを出したケラモフは、自分に近い朝倉の前足に組み付く。片足タックルだ。朝倉の右足を持ったケラモフはそこから足払い。朝倉の意識が下を向くと、今度は右フックを2発。矢継ぎ早の攻撃を繰り出し、ケラモフはテイクダウンに成功する。

 即座にマウントポジション。打ち下ろすパンチ、ヒジ打ちに躊躇がない。自分の体勢が崩れるのもお構いなしに見える強打だ。しかしケラモフの体勢は崩れない。逃げようとする朝倉のバックをついてリアネイキッドチョーク(裸絞め)。朝倉は苦痛に顔を歪め、相手の体を手の平で叩いてギブアップの意思表示をした。1ラウンド2分41秒の圧勝劇だった。いや本当に、ケラモフは強すぎた。

 試合後、インタビュースペースに現れた朝倉は感情を表に出さず、淡々と試合を振り返った。

「(試合後の心境は)特に何もないです。言葉がない。(ケラモフは)強かったですね。反省する内容でもなかったと思います。何もしてないので。これからの目標? ないです、何も。今は何も考えられない」

 文字にすると何か冷めているようだが、そうではなかった。雰囲気としては“茫然自失”だろうか。言葉通り、何もせずに負けてしまったのだ。パンチの一発も出すこともなく先手を取られ、そのまま押し切られた。

ケラモフの「絞める力」は想定外だった

 想定外だったのは、ケラモフの「絞める力」だったという。

「(チョークの場面は)背中がロープについていて、あの体勢から極まることはないので立ってからの展開を考えてました。それが油断と言われるなら、そうかもしれない」

 バックからのチョークの基本は、まず相手の真後ろに張り付くことだ。しかし朝倉の背中にはロープがあり、ケラモフは完全なバックのポジションではなかった。足も片方しか絡めることができていない。そんな、不完全に見える状態からでもケラモフは全力で絞めてきた。

【次ページ】 朝倉が屈した“頭脳を超えた”チョーク

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