榊原CEO「このまま終わる選手ではないでしょう」

「ついにベルトを巻きました。この瞬間を長いこと待っていた」と勝利を噛み締めたケラモフ。レスリング強豪国でもあるアゼルバイジャンでの少年時代について、こう語ってくれた。

「私はアゼルバイジャンの中でも田舎の育ちで、裕福でもなかった。だから毎日、外に出ては格闘技の真似事をしてましたね。遊びでケンカをしていたようなものです。それならちゃんとやったほうがいいと、格闘技クラブで学ぶことになったんです」

　朝倉の“路上の知性”に勝ったのは、ケラモフの“路上の野生”だったと言えばいいだろうか。大会後の総括コメントで榊原CEOは言った。

「格闘技の真の魅力は圧倒的な現実を突きつけられること、予定調和では終わらないことです。朝倉未来の次なる一手がどうなるか、とても楽しみだと言いたい。このまま終わる選手ではないでしょう」

今後については「考えられない」と述べた朝倉　©RIZIN FF Susumu Nagao

　PRIDE時代からそうだった。グレイシー一族、ヴァンダレイ・シウバなど強豪外国人に、日本人選手は何度も負けた。圧倒的現実に打ちのめされて、逆にファンは格闘技という沼から抜け出せなくなった。今も同じだろう。負けた朝倉を嘲笑するなど論外。言い訳を探して朝倉をかばう必要もない。ケラモフという“圧倒的現実”に向き合い、噛み締めるほど、シーンは成熟しRIZINはさらに大きくなる。そこに必ず、朝倉未来が復活すべき場所も生まれてくる。

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