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ネイマール31歳は今からでも世界最高の選手になれる? PSG10番の超絶技巧とヤンチャな一面…”愛すべき天才”が再生する日はくるのか
posted2023/07/27 11:02
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
現在発売中のNumberPLUS掲載の[愛すべきフットボーラー]ネイマール「天才が再生する日」を特別に全文公開します。
喜怒哀楽の感情を、これほど分かりやすく発散させるフットボーラーも珍しい。
「喜」に満ち溢れていたロナウジーニョとも、「哀」をまとったリオネル・メッシとも違う。ネイマールは人間の持つすべての感情を、苦しみ、悲しみ、妬みもひっくるめてストレートに解き放つ。
母国ブラジルの名門サントスで売り出し中だった10代の頃はもちろん、スペインのバルセロナでメッシ、ルイス・スアレスと「MSN」トリオを組んで一世を風靡した20代半ばまでなら、まだその奔放な振る舞いも可愛げとして受け止められた。感受性が強く、人間味に溢れたネイマールは、ピッチ上で見せる超絶技巧もあいまって、だから世界中の多くのファンに愛された。
しかし、メッシとスアレスの弟分としての立場では飽き足らずにバルサを飛び出し、2017年に史上最高額の移籍金2億2200万ユーロでパリ・サン=ジェルマンに新天地を求めた20代後半あたりから、徐々にその言動は度を越していく。
万全のコンディションでピッチに立てば、もちろん有無は言わせない。繊細なボールタッチと卓越したプレービジョンで、思いのままに巨大な違いを作り出した。ラ・リーガとの比較でレベルがワンランク落ちるリーグ・アンにあっては、好調時のネイマールに敵はいなかった。
挑発するプレーが悪質ファウルを誘発することも…
問題は、継続性だった。PSG加入から6年連続で公式戦2桁得点を記録しているが、1年を通してフル稼働したことは一度もない。バルサでの4年間で10試合以上を欠場したシーズンは一度だけだが、PSGでは6シーズンで4度。小さな怪我も含めれば、その故障歴は居酒屋の壁に貼られたメニューくらい、バラエティに富んでいる。