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二松学舎大附、帝京、関東一…高校野球東東京大会で強豪校に相次ぐ波乱!「優勝候補撃破」の4番打者には、まさかの“水陸二刀流”選手?
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2023/07/23 11:00
延長タイブレークの末、優勝候補の関東一を破った日大豊山の選手たち。左が4番を打つ“水陸二刀流”の光永翔音
試合でもその姿勢は顕著だった。関東一高戦では相手に警戒され無安打に終わるも、それを引きずることなくすぐに気持ちを切り替え、ベンチや守備位置からチームメイトへの声かけを怠らなかった。
延長10回に走者として本塁に生還すると、ガッツポーズで雄叫びを上げながら仲間たちとハイタッチを交わした。第2シードの強豪校を倒して8強入りを決めた瞬間は優勝したかのように仲間たちと次々抱擁を交わしていた。スタンドで観戦した母・千夏さんが「彼の野球人生で見た一番いい笑顔でした」と振り返るように、全員で勝利に向かう野球の醍醐味を心ゆくまで堪能しているかのようだった。
それゆえに仲間たちとの絆は深く「今年の3年生、チームの魅力は?」と試合後に尋ねると、感情が昂ったのか一瞬言葉に詰まりながら「普段はチャラつくこともあるけど、やる時はやる個性あふれるチームです。1試合でも多くこの仲間とやりたいです」と最後には笑顔を見せた。
夢は「甲子園とオリンピック出場」の”二兎”
一方で、水泳も完全に中断しているわけではない。現在はインターハイの予選を兼ねた関東大会が行われており、関東一高戦と日程が重複した50m自由形こそ棄権したが、翌日の100mバタフライには出場してインターハイ出場を決めるなど、二刀流は継続中だ。
それでも今の光永にとって最優先の目標となっているのは「仲間たちとの甲子園出場」。次戦は25日の準々決勝・東亜学園戦となる。甲子園まではあと3つだ。
甲子園出場とオリンピック出場――「二兎を追う」光永だからこそできる前人未到の挑戦は、まだまだ続く。
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