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“日本人として生きる”Jリーグ屈指のGKに届いた批判「楽な道を選んだ」「本物の日本人じゃない」…朴一圭の切実な告白「傷つきましたし、寂しい」 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2023/07/18 11:04

“日本人として生きる”Jリーグ屈指のGKに届いた批判「楽な道を選んだ」「本物の日本人じゃない」…朴一圭の切実な告白「傷つきましたし、寂しい」<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

サガン鳥栖に所属するGK・朴一圭(パク・イルギュ)33歳

「もし叶うなら日本代表として練習や試合に参加して、その経験を鳥栖に持ち帰って還元したい。若い選手たちに『自分もいけるかも』と感じてほしい。簡単になれるものではないですけど、チャンスは絶対にあると思うので。けっこう本気で、入りたい気持ちが強いです」

 そこまで言い切って、「まあ口では言ってますけど、実際はわりと冷静で」と付け加える。

「わかってますよ、簡単じゃないって。まずはしっかり試合に出て、チームに貢献して、そのうえで鳥栖が上位にいることが必須条件だと思うので。ちゃんと頭では理解しています」

 次のW杯を迎えるとき、朴は36歳になっている。息の長いポジションとはいえ、年齢がネックになる可能性は否定できない。また、足元の技術やビルドアップに強みを持つプレースタイルが、即興的になりがちなナショナルチームのサッカーに向いているのかどうか、という点も未知数だ。本人が「簡単ではない」と語った通り、現時点では“選ばれない理由”のほうが多いのかもしれない。だが、今季のサガン鳥栖でのプレーを見るかぎり、代表入りという目標は決して非現実的なものではないように思える。

マイノリティが当たり前に生きられる時代に

 サッカー選手としてのキャリアを大切にしたいという思いは、朴が「日本人として生きる」ことを選んだ大きな要因になった。しかし、それだけが国籍取得の理由ではない。世代の近い在日韓国人の筆者と共通の話題について話をするうち、朴はふと「たぶん多くの在日コリアンが、この先も日本で暮らしていくわけですよね」と切り出した。

「やっぱり、マイノリティが社会のなかで当たり前に生きられる時代になってほしい。その架け橋になりたい……というのは大仰かもしれませんけど、自分にも影響力は少なからずあると思うので、前向きなメッセージを伝えていけたらいいな、と。そういう意味でも、僕の生き方そのものがひとつのチャレンジだと思っています」

【次ページ】 「楽な道を選んだ」「本物の日本人じゃない」

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