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「無保証ならNBAにこだわらない」渡邊雄太が覚悟を決めた“3度目の交渉解禁日”…田臥勇太も祝福するサンズ移籍(2年7億超)の舞台裏
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2023/07/12 11:01
8月のW杯を前に、サンズへの移籍を発表した渡邊雄太。デュラントとの“再会”も待ち遠しい
SNSで渡邊がサンズと契約合意したという速報が流れたのはロサンゼルス時間午後4時半。つまり、契約交渉解禁の1時間半後だ。その間に10以上のチームから連絡を受け、そのうちのいくつかのチームから正式なオファーを出してもらい、サンズと直接面談し、契約合意。かなりスピード感あるフリーエージェント交渉だったところに、NBAの中で渡邊がどれだけ評価されるようになったかがうかがえる。
そして、このニュースが流れて一番に連絡をくれたのがデュラントだった。
「彼(デュラント)から連絡がきて、(契約合意が)ニュースになったのを僕も知った感じで。『また雄太と一緒にプレーできるのがすごく楽しみ』って言ってくれた。本当にありがたいなというふうに思ってますし、僕自身も、去年KD(デュラント)とプレーしてて本当すごい楽しかったんで、また同じように楽しい時間を過ごせたらなって思ってます。彼はすごく僕のことを評価してくれていた。NBAでも、歴代の中で見てもトップクラスの選手からそういうふうに思ってもらえるのはすごく嬉しいですし、彼とまたチームメイトとしてやっていけるっていうのも間違いなく心強いなと思ってます」
渡邊少年が興奮したサンズ田臥の勇姿
もう一人、サンズとの契約が決まった後に祝福の連絡をくれた特別な人がいた。19年前、2004年秋にサンズの開幕ロスターに残り、日本人初のNBA選手となった田臥勇太だ。
当時10歳のバスケ少年だった渡邊も、テレビの画面越しに、憧れのNBAの舞台に立った田臥を見て興奮していた。その田臥から直接「おめでとう」という祝福をもらい、日本とサンズの縁を改めて感じたという。しかも、サンズは渡邊がメンフィス・グリズリーズとのツーウェイ契約選手だった2018年10月27日に、NBA選手として公式戦デビューを飾ったときの対戦相手でもあった。
「そういう縁のあるチームでプレーできるっていうのは、楽しみだなって思っています。ここからまだまだ大変なことがあると思うんですけど、勇太さんの影響でサンズっていう名前を知ってる人もたくさんいると思うんで、たくさんの人に応援してもらえるように、また僕も頑張っていけたらなっていうふうに思ってます」
サンズは、今年2月に新しいオーナーを迎え、アグレッシブにチームを作り変えてきた。シーズン後にヘッドコーチを交代し、この半年で選手も大きく入れ替え、優勝を目指して補強を続けている。
「(サンズは)1から新しいカルチャーを作っていくということだったんで、自分もその一員にしっかりなって、新しいカルチャーを作っていく上で大切なピースの一つになれればなっていうふうに思ってます」と渡邊。
「またこれから新しい挑戦が始まるんで、頑張っていかなきゃいけないなっていう思いです」
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