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「無保証ならNBAにこだわらない」渡邊雄太が覚悟を決めた“3度目の交渉解禁日”…田臥勇太も祝福するサンズ移籍(2年7億超)の舞台裏 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2023/07/12 11:01

「無保証ならNBAにこだわらない」渡邊雄太が覚悟を決めた“3度目の交渉解禁日”…田臥勇太も祝福するサンズ移籍(2年7億超)の舞台裏<Number Web> photograph by Getty Images

8月のW杯を前に、サンズへの移籍を発表した渡邊雄太。デュラントとの“再会”も待ち遠しい

 フリーエージェント交渉は時間との勝負でもある。交渉解禁から次々と各チームのロスター枠が埋まっていくなか、渡邊は連絡をくれたチームすべてと交渉するのではなく、自分にあいそうなチームに絞って、オファーを出してもらうやり方を取った。

「自分がそんなに行くつもりもないのに、とりあえず『どういうオファーが出せるんですか』って聞くのはちょっと失礼になるかなと思いましたし、それこそ時間がかかると思ったので。自分たちが『このチームならフィットする』『フィットしない』っていうのを考えた上で、チームをいくつかに絞って、実際にオファーを聞いたという感じでした」と、その過程を説明する。

 絞ったなかに、フェニックス・サンズがあった。ネッツでチームメイトとして渡邊とも相性がよく、信頼関係を築いていたデュラントが、トレードで移籍した先のチームだ。6月には、ワシントン・ウィザーズとのトレードでブラッドリー・ビールも獲得。デュラント、ビール、そしてデビン・ブッカーとオールスター選手を3人揃え、秋からの2023-24シーズンの優勝候補にもあげられている。

渡邊の心を揺さぶったサンズの“熱意”

 デュラントがいるというだけでも渡邊にとっては契約先の候補に入っていたのだが、それだけでなく、どのチームよりも熱意が感じられた。フリーエージェント交渉が解禁となると間もなくフロントのスタッフが渡邊を訪ね、直に、チームがどれだけ渡邊を必要としているかを説いてくれたのだ。スーパースターや、実績があるフリーエージェント選手が相手なら当たり前のことだが、これまでロスター入りギリギリの立場だった渡邊のような選手に対しては破格の対応だ。

 これには、渡邊も心が動いた。

「サンズのフロントオフィスの人がLAまで来て、実際自分たちがどれだけ僕のことをサンズに来て欲しいかっていうのを話してくれたり、オーナーも連絡くれたりして。それだけ自分のことをこのチームが欲しいと思ってくれてるんだっていうふうに感じたので、そのミーティングがあってからは、すぐにサンズに行こうと決めました」

 アメリカのいくつかのメディア報道や渡邊自身の言葉を総合すると、サンズが渡邊に提示したオファーは2年500万1258ドル(約7億円)で、その全額が保証されている。しかも、2年目はプレイヤーオプション付。1年目が終わった後に、2年目の契約を継続するか、フリーエージェントになるかを渡邊自身が選択できるオプションで、1年目で予想以上の活躍ができた場合、次のオフにはさらに高額の契約を狙うこともできる。オールスター選手3人を抱えチームのサラリーが高騰しているサンズなので、ルール上最低額の契約しかオファーできないのだが、全額保証とプレイヤーオプションをつけることで、渡邊に対する最大限のリスペクトを払い、熱意を示した。

 渡邊によると、サンズより多くのサラリーを提示してくれたチームもあったというが、最終的に「今はお金じゃなくて、自分がやりたい場所でプレーするのが大事」と、サンズを選んだのだと明かした。

【次ページ】 異例の“90分”合意、デュラントからも連絡

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