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「無保証ならNBAにこだわらない」渡邊雄太が覚悟を決めた“3度目の交渉解禁日”…田臥勇太も祝福するサンズ移籍(2年7億超)の舞台裏
posted2023/07/12 11:01
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
アメリカ時間6月30日、NBAのフリーエージェント交渉解禁日を、渡邊雄太はロサンゼルスで迎えた。5年前にNBAに入って以来、渡邊がフリーエージェントとして夏を迎えるのは3度目だが、初日にオファーがもらえる手応えを感じていたのは初めてのことだった。
昨季、ブルックリン・ネッツで過ごしたNBA5シーズン目、特にシーズン前半に、渡邊はNBA選手として自信を得た。リーグでもトップクラスの3ポイントシューターという評価を確立させ、強豪チームのローテーションプレイヤーとして、勝利に貢献できることを証明したのだ。
2月上旬にケビン・デュラントやカイリー・アービングがトレードになったのを境にシーズン後半は出番が減り、チームの成績も低迷するという残念な終わり方だったが、それはチーム事情によるもの。シーズン前半で得た自信は揺らがなかった。3月に話を聞いたときも、「(夏のフリーエージェントは)僕も個人的に楽しみにしてます。どういう評価を受けてるのかもわかるので。自分が望むようなオファーをもらえればなとは思っています」と前向きに語っていた。
交渉前から心に決めていたこと
今回のフリーエージェント交渉を前に、渡邊がひとつ心に決めていたことがあった。これまでのような、無保証や部分保証の契約のオファーは受けないということだ。
3年前の夏のトロント・ラプターズとの契約は部分保証、去年ネッツから提示されたのは無保証の契約だった。ちなみに、NBA契約における「保証」「無保証」は、契約途中に解雇された場合に、残りの契約金支払いが保証されているかどうかを意味する。無保証の選手はチームから見るといつでも解雇しやすい選手で、トレーニングキャンプで開幕ロスター入りを争わなくてはいけない立場なのだ。
7月9日に日本人メディア向けに行われたオンライン会見で、渡邊はそのことについて、こう語った。
「シーズンが終わった後、まずLAに行ってエージェントとミーティングをしたんですけど、そのときにやっぱりもう、ノンギャランティ(無保証)だったり、部分保証だったりではNBAでは正直やっていける自信がないと伝えて。やっぱりあのプレッシャーというか、果たしてこのあと自分がチームに残れるのかどうかっていう中でやっていくのもかなり大変だったんで」
これは、シーズン中から考えていたことだった。3月にも、こんなことを言っていた。