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渡邊雄太“幸せな時間”も“冷遇”も味わったNBA5年目「現実をしっかり受け止める」暁子夫人の変化も明かす「僕も楽しみにしているんですよ」
posted2023/04/30 11:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Sipa USA/JIJI PRESS
魔法のような時間は戻ってこなかった。
4月22日、フィラデルフィア・76ersとのプレーオフ第1ラウンド第4戦でブルックリン・ネッツは88-96で完敗を喫し、シリーズ4連敗で敗退が決定。実力上位の76ersに終始主導権を奪われる厳しい展開の中で、シリーズ第2戦以降、渡邊雄太(28歳)にプレー機会は訪れなかった。
「試合に出してもらえればシュートを決める自信はありました。それは今、言っても仕方がないことですが」
戦いを終えて、渡邊は微かなフラストレーションを感じさせながらそう述べた。
10分でも、5分でもコートに立っていれば…
第4戦でのネッツの3ポイントシュート(3P)の成功率は24.3%、特に控え選手たちは合計で1/14と決まらなかったのが敗因になった。実績ある選手たちが数多いというチーム事情はもちろん理解しているが、ジリ貧の状況下で、シーズン中はチーム最高の44.4%という高確率で3Pを決め続けた渡邊にどこかでチャンスが与えられてもよかったのではないか。10分間、いやたった5分間でも背番号18がコートに立っていれば?ハッスルプレーと3Pで渡邊が会場のファンの心を1つにする、あの特別な空間があるいは蘇ったのではないか……。
ただ、圧倒的な力の差を見せつけられての4連敗という結果は、見ているもののそんな感傷的な思いを打ち砕く。そして、少なからずの悔しさはもちろん感じさせても、戦いを終えたばかりの渡邊の言葉はより現実的だった。
「もっと自分にシュート力があれば、恐らく試合に出れていたでしょう。シーズン初めの頃のように、3Pの成功率50%以上とかをキープできていれば、出れていたはずです。納得できない部分も正直、自分の中にはありますけど、それを言い訳には絶対しちゃいけないと思っています」
潔いコメントの背景には、今はまだ途上にいるとしても、いずれ自身がそういった境地にまで辿り着けるという自信があったのかもしれない。