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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ベストナイン2回の名内野手は引退後なぜ大学院に通い、母校・法大野球部へ?「野球だけしていれば世渡りが…の時代では」〈大島公一に聞く〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/07/09 11:01
現在の大島助監督
〈大学野球の場合、メインは学業なんですね。やっぱり授業に出て、単位を取るのが大事です。昔は野球優先でしたが、今は学業優先です。
春季リーグ戦の1週目は学校の前期が始まっていないんですが、2週目から授業が始まります。土日がリーグ戦で、試合がない場合の月曜は休みですが、木曜や火曜は授業がある。選手はまず練習に出てこないですね。だから練習は週2回、その程度では調整できませんし、調子をつかめないです。
でも昔のように「野球だけしていれば世渡りができる」という時代ではありません。だから、その時代に合わせて彼らを指導していかないといけないですね〉
かつては、有力大学でもスポーツ推薦で入学した選手が、4年間ほとんど授業に出席しないまま、スポーツ実績だけで卒業するのが当たり前だった。しかし、日本版NCAA(全米大学体育協会)であるUNIVAS(大学スポーツ協会)の設立など、大学スポーツも変革が進んでいる。そしてスポーツ選手であっても「大学での学び」は必須になりつつある。
大島氏は、そうした時代の変化の中で、新しい「指導者像」を模索していると言えよう。
高校、大学、社会人、プロとトップクラスの野球の世界に身を置き、オリンピックにも出場、さらにはイチローという世界的なアスリートともプレーした。そして引退後は、大学院でも学び修士号を取得した。選手たちに「野球選手の学びはどうあるべきか」を指導する上で、これほどの適任者は他にいないのではないか。
一つ一つ言葉を選んで、丁寧に説明する口調にも、人柄がにじみ出ている。加藤監督、大島助監督による新たな法政大学野球部の「歴史の創出」に期待したい。
<#1からつづく>