酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「オオタニを敵チームもアツく報道」「6月27戦15発+5登板中3戦で自援護HR」マンガを軽く超える大谷翔平〈87.6の新武器〉ってナニ?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2023/07/02 17:02
マンガ設定すら軽く超える大谷翔平。その猛打を支える「87.6」の数字に着目してみた
バットは2.54cm長くなったが重さは32オンス(907g)のまま。長くなった分、重さはやや軽く感じられるはず。しかしそのバットを昨オフの筋トレでさらにパワーアップさせた鉄躯で、軽々と振り回しているのだろう。
近代野球では、バットはより短く、軽くなる傾向にある。
阪神の強打者、藤村富美男は、92.5cm、980gの「物干しざお」と呼ばれる長大なバットを振り回した。ベーブ・ルースは89cm、1010gという重いバットを振っていた。王貞治は、長さは今の大谷とほぼ同じ87.5cmだが重さは930gと重かった。しかし最近の打者は、村上宗隆が85cm、880g、岡本和真が86.4cm、890gなど、昔の打者より短く軽量のバットを使うことが多い。
これは昔よりもはるかに球速が上がり、変化量の大きな変化球を投げる今の投手に対応するためだろう。100mph(161km/h)超の剛球を打つために、打者もバットも進化したのだ。
「ただ調子が良くて」好記録を打ち立てているのではない
大谷は、より多くの球を安打、ホームランにするために、より長いバットに持ち替えたのでは――そして、そのバットを自在に使いこなして6月は、すさまじい記録を樹立したのではないか。
大谷翔平は「ただ調子が良くて」好記録を打ち立てているのではない。そのことを改めて思い知らされた。くれぐれも怪我なきよう。
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