ベルグナー「私たちのインタビューゾーンは本当に控室のすぐ前だった。許可されたのはライブで放映権を持っている局だけ。つまりドイツだとARDがそれで、インタビュアーの私だけがそこにいたんだ。選手がコップにお酒を入れて私にも配ってくれたよ。仕事があるから飲まなかったけどね（笑）。雰囲気は本当に素晴らしかった」

両手にスパイクを持ったメッシは…

頬に傷を負いながらチームを優勝へと導いたシュバインシュタイガー　©Kaoru Watanabe／JMPA

　興味深いのは、この試合がベルグナーにとって特に印象に残っているのは試合がとてもドラマティックに進み、バスティアン・シュバインシュタイガーが交錯プレーで頬を裂かれても立ち上がり、最後の最後で途中出場したマリオ・ゲッツェの素晴らしい胸トラップボレーシュートでドイツが優勝を果たしたからだけではない、という点だ。ブラジルでの決勝戦を思い出すといつも一つのシーンが頭に浮かぶのだ、と。

　ベルグナー「ドイツの控室の向こうに他の部屋があったんだけど、そこからリオネル・メッシが出てきたんだ。彼はドーピング検査を受けていた。ソックス姿で、両手にスパイクをもって、頭を深く落とし、うなだれていて。そんなメッシが、優勝を祝い続けているドイツ選手団のすぐそばをたった一人で通り過ぎていかなきゃいけなかった。あのコントラスト。世界最高峰の選手である彼が、あそこまで失望に沈んで歩いていたというのは強烈な印象として残っている。だからこそ、そんな彼がカタールW杯で優勝という栄冠を手にすることができて、とてもうれしく思っているんだ」

日本戦は「絶望的」とは少し違う

　どんな国にも選手にも光と影の時代がある。そのカタールW杯でドイツはグループリーグで敗退、しかも2大会連続で散るという悪夢に襲われた。下馬評では圧倒的に有利と目されていた日本代表に初戦で負けたことが尾を引き、勝ち点4をあげながら決勝トーナメントへの扉は開かれなかった。

　日本に敗れた一戦はドイツサッカー1000試合の歴史で最大級にショックな試合の一つなのだろうか？

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