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マルケスの不屈の心がついに折れた…ドイツGPで転倒5回の真相と、4人中3人が負傷欠場のホンダのレース運営責任 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2023/06/23 11:00

マルケスの不屈の心がついに折れた…ドイツGPで転倒5回の真相と、4人中3人が負傷欠場のホンダのレース運営責任<Number Web> photograph by Getty Images

ドイツGPの予選Q2で2度目、週末を通じて4度目の転倒を喫したマルケス

 5回の転倒を詳細に振り返ってみれば、マルケスの心が折れた理由がわかるはずだ。

 金曜日最初のセッションでマルケスは2番手につけた。悪くはなかったが、実情は「すぐに限界を感じた」とセットアップを見直しながらやっとの2番手。マシンが良かったときのマルケスだったら、最初のセッションから圧倒的なスピードを見せてトップタイムを叩きだしているはずだ。

 2回目のセッションでは右高速コーナーで転倒寸前のスリップをし、車載カメラに向かって左手の中指を立てた。この行為は通常、相手に対しての侮辱や攻撃的なサインとなるだけに、大きな話題になった。マルケスは「高速コーナーで転びそうになったのをセーブして、アドレナリンがすごく出ていた」と弁解したが、得意のコースで思うように走れないマシンと開発が進まないホンダに対するいらだちと怒りだったことは誰の目にも明らかだった。その後のアタックで、マルケスは1コーナーでフロントから転倒した。

気迫あふれるマルケスの予選

 この結果、土曜日はQ1からの予選となった。上位2台がQ2に進出できるこのセッション中盤、マルケスは最終コーナーでスリップダウン。グラベルを転がったマルケスは、すぐに起き上がると全力疾走でコースを横切り、急勾配のピットロードを駆け上がってレプソル・ホンダのピットへと戻った。一連の動きを簡単に書いたが、転倒直後レーシングスーツを着てヘルメットをかぶったまま、最終コーナーからピットロードまでの距離を全力疾走できるライダーはそうはいない。その間、マルケスは一時的にポジションを落としたが、すでに準備されていたセカンドマシンでコースインし、2番手タイムをマークしてQ2進出を果たした。

 それだけでも凄まじかったのに、マルケスはQ2でも2度の転倒を喫する。まずはセッション終盤の最終コーナーでハイサイドに遭う。宙を舞ったマルケスは、柔道の背負い投げを食らった形で路面にたたきつけられ、しばらくうずくまった後オフィシャルに抱えられコースサイドへ。このとき僕は「これでマルケスの予選は終わった」と思ったのだが、なんとコース外側のサービスロードでエンジンを掛けたマルケスは、再びマシンに跨がってコースを横断してピットへ戻ってきた。そして再びコースインしたマルケスは7番手タイムを叩き出した後、金曜日と同じ1コーナーで2度目の転倒を喫する。もはや表現する言葉が見当たらないほどの執念である。

【次ページ】 トップライダーが転倒する理由

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