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「映画のラストシーンに似ている」偉業目前のロッテ益田直也(33歳)が語る“ストッパーの葛藤”「たった3アウト。でも、その3つが難しい」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/05/30 11:00
5月18日、ZOZOマリン通算100セーブを達成したお立ち台で「僕たちと一緒に戦ってください」とファンに呼びかけた益田直也(33歳)
2011年ドラフトでマリーンズに指名され入団が決まり、スカウト・球団幹部が地元和歌山で食事会を開催してくれた。祝いの場で、益田は思わず涙した。プロへの道が開かれた喜びと、ここまでの道のりを思い返し、涙したのだ。気が付けば席の向こう側に座るスカウトたちも、もらい泣きをしていた。お酒が入っていたこともあり延々と涙した。後にも先にもあれほど泣いたことは記憶にない。
「懐かしいですね。みんなで泣きましたもん。ボクにとってそれほど嬉しい入団だった。だからマリーンズが大好き。このチームで優勝がしたいです」
2019年オフ、FAを行使せずに残留を決めた時、益田は清々しい表情で当時のエピソードを振り返ってくれた。忘れてはいけない原点だ。
あれから月日は流れた。全国では無名の存在として入団した若者は、プロ通算600試合以上に登板し、プロ野球史上10人目の200セーブを目前に控えている。守護神という過酷ながら重要なポジションを担いながら選手会長としてもチームを引っ張る存在となった。
すべてのプレッシャーから解き放たれる時、それは勝利の瞬間であり、最後に優勝を決めた時だろう。そのために、益田はきょうもブルペンに向かう。観衆の誰もが心打たれる感動的なエンディングを目指し、投げ続ける。
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