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「映画のラストシーンに似ている」偉業目前のロッテ益田直也(33歳)が語る“ストッパーの葛藤”「たった3アウト。でも、その3つが難しい」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/05/30 11:00
5月18日、ZOZOマリン通算100セーブを達成したお立ち台で「僕たちと一緒に戦ってください」とファンに呼びかけた益田直也(33歳)
入団以降、毎シーズン、当たり前のように50試合以上のマウンドに立ってきた。2012年のルーキーイヤーは72試合。18年も70試合とシーズンの約半分を投げている。それでいて、ここまで手術をするような大きな怪我は経験していない。文字通りの鉄人だ。
「身体は丈夫。そこは産んでくれた親に感謝。そして自分というより周りの皆様のサポートのおかげです。自分だけではなく色々な人に支えてられてここまでこれている」
丈夫な肉体は、徹底的な自己マネジメントの賜物でもある。ブルペンでは極力、投げない。基本的に10球。力を入れるのはブルペンの電話が鳴り、出番を告げられた後の3球。ストレート、変化球、ストレートの順番で思いっきり投げてマウンドへと向かう。それ以外の時間は身体をほぐしながら、モニター越しに試合を見つめる。相手打者などを観察し、自身の登板へのイメージを作る。それも大事な時間だ。
「勝てばいいと思えるようになった」
今はメンタルの部分でも大きな変化が加わった。
「今まではすぐに失敗したらどうしようとかなっていたけど、今はだいぶ冷静に見れるようになりました。経験を重ねて感じるプレッシャーは減ってきたかなと。対打者というより対打線で広く物事を見れるようになったのも大きい。走者を出したくないとか、1点も取られたくないという感じではなく、勝てばいいと思えるようになった」
究極のプレッシャーと逃げずに向き合えるのは、誰よりも深いマリーンズ愛があるからだ。忘れらない出来事がある。