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「映画のラストシーンに似ている」偉業目前のロッテ益田直也(33歳)が語る“ストッパーの葛藤”「たった3アウト。でも、その3つが難しい」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2023/05/30 11:00
5月18日、ZOZOマリン通算100セーブを達成したお立ち台で「僕たちと一緒に戦ってください」とファンに呼びかけた益田直也(33歳)
「色々ありますよね。2017年でしたかね。こどもの日に2点リードで(ソフトバンクの)デスパイネに同点2ランを打たれて、上林(誠知)に勝ち越しソロを打たれた試合とか。2年前の(オリックスの)T-岡田さんに打たれた逆転3ランとか。ボクもそうですけど、観てくれている人も、セーブ成功よりも打たれた方を覚えているのではないですかね」
昔の傷が痛む。今も心が痛む。時が解決してくれるものではないのだ。
「抑えて当たり前と思われる。そこがまた辛い部分でもある。ただ一つ言えるのは難しくて大変だけど、やりがいがある。ストッパーって、どうですかと聞かれることありますけど、なかなか口で説明できるものではない。やった人しか分からない部分というか、奥が深すぎます」
「先発」を断って選んだ“仕事”
ただ、ストッパーというポジションは益田が自ら選んだ道でもある。
入団した1年目のキャンプ。ブルペンでの投げっぷりの良さが当時の西本聖投手コーチの目に留まった。
「オイ、新人。先発でも10勝できるぞ。後ろとどっちをやりたい?」
先発は魅力的な役割だったが、キッパリと断った。「(投げる)球種も少ないし、短いイニングの方が自分は力を発揮できると思っていた」とプロ入りする前から冷静に自己分析し、セットアッパー志願でプロの門を叩いた。関西国際大学時代も先発ではなく試合の中盤で投げることが多く、そこで結果を出してきた。コーチの高評価はありがたかったが、自分の信念を貫いた。だから、今がある。