かつて一大勢力だったPL学園出身のプロ野球選手は年々減り、メジャーリーグには前田健太（ツインズ）がいるものの、NPBでは、中日、阪神などでプレーした福留孝介が昨シーズン限りで引退したため、今年、ついにPL学園出身選手は中川1人になった。

　中川は昨年まで、球場で福留に会う機会があれば挨拶に行っていたというが、リーグが違うため、会ったのはほとんどが二軍の試合だった。

　福留にはいつも、「こんなとこで何してんねん」と言われたという。

PL学園の後輩である中川にエールを送り続けたという福留孝介（19年阪神時代）©︎Takashi Shimizu

「お前は二軍にいる選手じゃないだろ」という叱咤激励だと受けとめていた。特に不調や怪我に苦しんだ2、3年目に、その言葉は重く響いた。

「言葉は少ないですけど、すごく刺さりましたし、すごく重い言葉だなというふうに感じました」

最後のPL戦士「復活した時の後輩のためにも」

　PL学園から東洋大を経て、2018年のドラフト7位で指名された時から、中川には「最後のPL戦士」という肩書きがついて回った。昨年、福留の引退が発表された時、PL学園出身のNPB選手が中川1人になることについて聞くと、こう語っていた。

「そんなに毎日意識しているわけじゃないですけど、やっぱり偉大な先輩方がいらっしゃる伝統のある高校なので、その中で、プロとしてやっている最後の卒業生として、野球をしていく上では、やっぱり結果を出して、PL学園という名前を残していけるようにしたいなと思いますし、先輩方の思いも、受け継いでいかないといけない。また、復活した時の後輩のためにも、残していかないといけないという思いはあります」

　いつものように淡々と、しかし静かな覚悟が伝わってきた。

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