最強チームへの挑戦は、3冠達成したチームに挑むことになるので、結果的には3冠挑戦と同じ意味になる。ただ、3冠が前に出てしまうと、意識し過ぎてしまい、そこにとらわれてしまう。鈴木たちへの提案には、言葉を変えることで自分たちにプレッシャーをかけずに戦ってほしいという藤田監督の親心が見てとれる。

「正直、怖い」「心のなかでバチバチ」

　関東インカレを経て、チーム内の競争は激化しつつも選手層は一段と厚みを増した。

　今年の箱根駅伝で5区を走った新2年生の山川は、「今、チーム内の競争がめちゃハイレベルで、故障から上がってきている選手も多いので正直、怖いです。駅伝のメンバーに選ばれるためには誰よりも練習し、強くなるという気持ちを持たないといけない」と、駅伝のメンバー入りは今後さらに激しくなると予想している。

　ハーフを制した赤星も「練習や試合になるとみんなライバルですね。心の中でバチバチしながらやっていますし、僕も遅れを取らないようにロードでより強みを発揮していきたい」と、自分の強みをアピールして、今年の箱根駅伝8区に続いての駅伝メンバー入りをアピールしていくという。

今の駒澤大に死角と刺客はあるか？

　大八木総監督―藤田監督の指導体制、分厚い選手層、個々の高い意識、力強い走力、これまでの結果を見ると、駒澤大に死角は見当たらない。

　だが、藤田監督は「まだまだですよ」と、手綱を緩める様子は一切ない。

「今年も中大は、精神的な支柱である吉居大和君（4年）がいるので怖い存在です。青学大は今回の関東インカレで長い距離で苦しんでいますが、箱根では絶対作ってくるチームなので、かなり不気味です。他校をマークしつつ、自分たちは目指すべき目標に向かって、地に足をつけてやっていく。私は、大八木と同じことはできないですし、大八木と同じことをいっても学生たちに響くものが違う。監督としては新米なので大八木を始め、色んな人に助けてもらいながら今シーズンはやっていきたいと思います」

　トラックシーズンの滑り出しは上々。総監督の後ろ盾を得た藤田体制の1年目、駒澤大は今のところ前年のチームを上回る勢いにある。

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