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箱根優勝&監督勇退の駒澤大は今、どうなっている?→スローガンに「3冠」の文字なし…藤田敦史新監督が明かす、その理由
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph bySankei Shimbun
posted2023/05/18 11:12
3月の3冠達成報告会であいさつをする大八木弘明総監督と新しく監督となった藤田敦史。今季の始動レースから好調なチームを率いる新監督に感触をたずねた
鈴木たち4年生の代は、関東インカレの長距離で6名が出場し、唐澤ら昨年故障していた選手が復帰を果たすなど、非常に充実している。田澤たちによって触発された高い意識が下級生にも浸透し、駅伝でも結果が出れば、しばらく駒澤大時代がつづきそうだ。だが、藤田監督は、「これまでは良い流れだが、駅伝シーズンは分からない」と慎重な姿勢を崩さない。
「2年前の関東インカレも唐澤が5000mと10000mで日本人トップを獲り、花尾(恭輔)がハーフで2位になるなど結果が出たんです。でも、駅伝は全日本こそ取れましたけど、出雲5位、箱根は3位ともうひとつでした。今の選手層で十分戦えるチームは作れるかなと思いますが、故障やコロナなど、そういう怖さがあるので最後まで気が抜けないですね」
スローガンに3冠の文字がない理由
ただ、裏を返せば、故障や体調不良がなければ勝てる編成が可能だということだ。主将の鈴木も駅伝に自信を持っており、今年のスローガンは 「原点と縁」~史上最高への挑戦~ に決まった。前回の箱根制覇後、鈴木らは目標として2年連続での3冠達成を口にしていたが、スローガンに3冠の文字はない。その点について藤田監督は、こう語る。
「やっぱり3冠というのは、すごいプレッシャーがかかるんです。昨年も箱根の前に田澤がコロナにかかり、(佐藤)圭汰と花尾が胃腸炎になった。その時、大八木がふと『出雲、全日本は勝っているから箱根に負けたとしてもしょうがないよね』と漏らしたんです。これだけ実績を残している監督でも弱気になる、そのくらい3冠は難しいし、狙ってできるもんじゃないんだなって思いました。今年、それでも選手が3冠っていうんでね。それで出雲を外したらモチベーションが下がってしまいますし、そもそも3冠はそんな甘いもんじゃない。そこで、今年は大エースの田澤がいた歴代最強チームへのチャレンジと捉えたらどうだろうって話をしたんです」