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「23歳カズとブラジルで対戦したんだ」懐かし名DFペレイラが語る“農場チームからプロ入り+ヴェルディ裏話”「わかるよな、ラモスだ(笑)」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/05/20 11:01
1994年JリーグMVPを獲得したペレイラ。当時の裏話と63歳になった今の生活を現地で聞いた
「もうすぐプロリーグが始まること、日本には組織力があり、ヴェルディは練習施設が良好で、ブラジル人選手や日本代表クラスの選手がいる国内有数の強豪であること、フィジカルコーチもブラジル人で、日本人でもカズ(三浦知良)らポルトガル語がわかる選手もいる、と知らされた。条件も良かったから、承諾した。ただし、『日本人選手はとてもスピードがあるから、体調をしっかり整えておいてくれ』、また、『ブラジル人で長髪の非常に個性が強い選手がいる。彼とは絶対に言い争いをするな』と忠告された」
――ああ、あの選手ですね。
「わかるよな。ラモス(瑠偉)だ(笑)」
実はブラジルでカズと対戦したんだ
――カズは1982年、15歳でブラジルへ渡って修行し、1986年からコリチーバ、サントスなどでウイングとして活躍した後、1990年7月に読売サッカークラブ(後のヴェルディ)へ入団しました。ブラジル時代のカズと対戦したことは?
「1試合だけあるよ。彼がサントス最後の年、サンパウロ州選手権で僕がいたグアラニーと対戦したんだ(注:1990年5月7日)。
試合は0-0で進んでいたんだけど、後半、左後方からのクロスがカズへ渡った。彼は完璧なトラップでボールをコントロールし、右サイドのあまり角度のないところからファーサイドへ強烈なシュート。これがサイドネットに入って決勝点となり、負けてしまった。
当時、彼はスピードとテクニックがあり、跨ぎフェイントが得意で「ガリンシャ・ジャポネス」(日本のガリンシャ。ガリンシャは、ブラジルの伝説な名ウイング)と評判になっていた。それだけにどうしても抑えたかったが、無理だった」
――それから2年後、2人はヴェルディのチームメイトに。
「不思議な運命だよね。ヴェルディに入団して初めてカズと会ったとき、『1990年のサントス対グアラニー戦のことと、僕が君をマークしていたことを覚えているか』と聞いたら、『試合のことは覚えているけど、あなたのことは覚えていない』と言われた(笑)」
◇ ◇ ◇
ブラジルの小さな町の農場で生まれ育ち、18歳までチームらしいチームでプレーしたことがなかった長身CFが、24歳にしてCBにコンバートされた。それから国内各地のクラブを渡り歩いてキャリアを積み上げ、32歳で地球の反対側へ舞い降りた。
Jリーグ参戦を1年後に控えたヴェルディ川崎に加わったのである。<#2につづく>
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