「東大まで来て、部活に入り、ボールを蹴ることに打ち込んでいるんですよ。『俺が東大生ならサッカー部には入らないよ』という話をよくしているんです（笑）。みんな、真面目な上に本当にサッカーが好きでたまらない選手ばかり。モチベーションはすごく高い。それなりに勉強して入学している学生しかいないので、自分と向き合って頑張れる選手も多いです。だからこそ、僕も一緒に努力し、毎日の練習、毎週末の試合を大事にしていきたいと思っています」

練習前、選手たちに言葉をかける林監督　©︎Yuki Suenaga

　現在、36歳の林氏は東大を勝たせるために情熱を傾けているが、このまま大学の監督だけで終わるつもりはない。すでにA級ライセンスまで取得し、次はJリーグの監督には義務付けられているS級ライセンスの取得を目指す予定だ。

「監督として経験を積み重ね、いつかはJリーグのクラブで指揮を執りたいと思っています。プロの世界でも絶対に勝たせる監督になれるという自信はあります。やるからには上を目指していきたい」

　東大の選手たちも指揮官の野心には気づいている。東大監督の枠に収まる器ではないことを理解し、今後のキャリアアップを歓迎していた。ただの感情論ではない。そこには理にかなった理由があるのだ。

（つづく）

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