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村田諒太はゴロフキン戦をどう振り返る? 映像を見ながら明かした「やれてるじゃん、俺」「むしろ考えないことに集中した」
text by
村田諒太Ryota Murata
photograph byTakashi Mochizuki(BIFE pictures)
posted2023/05/05 11:02
引退後初の著書執筆のため、昨年4月のゴロフキン戦の映像を久々に見返した村田諒太。本人が明かしたのは…
オープニングブローはゴロフキンの左ジャブ。思いのほか伸びてきて、僕は顔面に軽くもらった。ゴロフキンのモーション(前段動作)の少ないジャブは予想通りに強く、こちらの呼吸をずらしたようなタイミングで飛んでくる。すぐさま僕も左ジャブを返す。お互い最初の30秒は左で探り合い、右を1発も出さなかった。
先に右を振ったのは僕だ。右ストレートから一気にプレスを強めてゴロフキンを下がらせにかかった。1分過ぎ、ゴロフキンの左ジャブにかぶせるように打ったクロスの右ストレート、さらに右から左ボディーが入ると会場が大きく沸く。1万5000人が集まった観客もゴロフキンにとってボディーが数少ない弱点であることを知っているのだ。
互いにジャブを突き合うが、そこから先に得意の右につなげられているのは僕の方だ。ただ、ゴロフキンも終盤にかけて左右フックにアッパーを交えるなど、徐々に彼らしさを出してきた。
3分間が終了。このラウンドはポイントこそゴロフキンに取られていたが(試合後に公表された採点はジャッジ3者とも10―9でゴロフキンを支持)、自分のスタートも悪くなかった。
やれてるじゃん、俺
コーナーに戻った僕は椅子に座りながら笑っていた。1ラウンドを終えて「やれてるじゃん、俺」という、少し安堵した気持ちもあったのを覚えている。セコンドからも「いつも通りできているよ」と声をかけてもらった。
<続く>
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