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「1年後には世界ランカーに入っても…」那須川天心”目”はすでに超一流! 元世界王者・飯田覚士が見たボクサー天心の可能性…不安要素は?
posted2023/04/28 17:14
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
芸能人は歯が命なら、ボクサーは目が命だ。
相手の距離で戦わず、自分の距離で戦う。つまり相手のパンチを食らわずに自分のパンチを当てるのがボクシングであり、その距離感のピントを合わせていくのが目になる。相手より素早く反応、判断できればそれがスピードの差にも直結する。
キックボクシング、総合格闘技などでプロキャリア47戦全勝を誇り「キックの神童」と呼ばれた那須川天心はプロボクサーに転向し、4月8日に東京・有明アリーナで日本バンタム級2位・与那覇勇気とデビュー戦となるスーパーバンタム級6回戦を行なった。2ラウンドに右フックでダウンを奪うなど圧倒して3-0判定(ジャッジ2人がフルマークの60対53、1人が59対54)で勝利している。プロテストから2カ月後のデビュー戦において上位の日本ランカーを相手に、目とスピードは際立っていた。
ボクシングと目、と言えば元WBA世界スーパーフライ級王者の飯田覚士氏だ。ビジョントレーニングの普及を目的とした「日本視覚能力トレーニング協会」の代表理事を務める彼の目には、那須川のデビュー戦がどのように映ったのか――。
那須川天心は「10年くらいキャリアのある選手のよう」
飯田は現役時代からビジョントレーニングに励み、世界チャンピオンまでのぼりつめたことでも知られる。引退後はビジョントレーニングに関する書籍を出版し、東京・中野区で経営するボクシングジムでは子供たちを対象にビジョントレーニングを取り入れたプログラムを実施している。
彼に取材の目的を伝えると「目は素晴らしくいいと思います。10年くらいキャリアのある選手のよう」と即答だった。そしてすぐにこう言葉をつなげた。