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井上尚弥30歳に…弟・拓真が「夢だった兄弟同時王者に」と語った日、世界的識者が「イノウエはNo.1ボクサー」と絶賛する理由とは
posted2023/04/10 17:21
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
JIJI PRESS
<名言1>
小さいころから夢だった兄弟同時王者になります!
(井上拓真/NumberWeb 2018年9月12日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/831852
◇解説◇
偉大なる兄の獲得した世界王座を、弟が再び確保した。
8日に行われたWBA世界バンタム級王座決定戦、同級1位の井上拓真は同級2位のリボリオ・ソリスを判定で下して、新王者に輝いた。兄の井上尚弥がバンタム級で4団体統一の偉業を成し遂げてからスーパーバンタム級に転向したことで空位となっていたが、その新王座を弟がしっかりと“守り切った”形となった。試合後には父・井上真吾さん、そして尚弥とともに喜びをあらわにした拓真。自身初の正規王座のベルト奪取となった。
あまりにも強すぎる兄がいるとはいえ――弟の拓真も1つずつボクサーとしての階段をのぼってきた。高校時代にはインターハイでピン級で優勝し、翌年にはライトフライ級で田中恒成と決勝戦で相まみえた経験を持つ。高校3年生でプロ転向したのちは、5戦目で東洋太平洋王座を獲得。そして2018年の年末にはWBC世界バンタム級暫定王座を獲得した。翌19年にはノルディーヌ・ウバーリとの王座統一戦に敗れ、その後はコロナ禍によるブランクもあった中で実戦経験を積み、ついに世界王者へと駆け上がった。
冒頭は5年前、暫定王座を手にする直前に語った拓真の言葉だ。偉大な兄を追いかけながら、着実に強くなった証が今回のチャンピオンベルト獲得と言えるだろう。
プロデビュー当時からスパーリングでさえ恐れられた
<証言1>
自分としても井上君とやりたかった。
(黒田雅之/Number1053号 2022年6月16日発売)
https://number.bunshun.jp/articles/-/855725
◇解説◇
「モンスター」の愛称を持つ井上尚弥は、若き日から恐ろしいほどの精度と破壊力のパンチを見せてきた。尚弥がプロボクサーになった直後にその強烈さを味わったのが当時ライトフライ級日本チャンピオンだった黒田。2012年3月には当時ホープだった田口良一相手に判定勝ちで王座防衛するなど、実力者であったことは間違いない。