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WBC無念の辞退…鈴木誠也が今明かす“本当の思い”「すごく悔しかった」それでも侍ジャパンが教えてくれたもの「自分の人生にいかしていく」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2023/04/22 11:01
無念のWBC出場辞退から、復帰を果たした鈴木誠也
19年のプレミア12、21年の東京五輪と全12試合に渡り「4番」に座り続けた鈴木は、今回のWBCでも中軸を期待されていた。それだけではない。国際大会の経験が豊富な28歳のメジャーリーガーには野手陣のリーダー、初の日系人選手・ラーズ・ヌートバーと日本人野手の橋渡し役も託されていた。
「年的には上になる。今までとそこの違いはあると思う。後輩たちがしっかりやりやすい環境でやれるように。少しでも力になれれば」
自覚十分、責任も感じていた。なのに……。行き場のない怒りが込み上げた。その思いはメジャー2年目の春キャンプにも表れていた。
「考えるたびに、なんでこうなったんだろうと……。いろいろ考えました。どうしてもWBCのことがずっと頭にあったので、そう考えるとショックはデカかった。でも、こうなってしまった以上仕方ない。逆に先を見据え、今後ケガしないようにやれるのがベスト。そうやって考えるようにした」
村上への激励、ダルビッシュと“二人だけの祝勝会”
脇腹痛は野球選手にとって厄介だ。再発は選手生命をも左右する。鈴木も慎重な日々を振り返った。
「とにかく焦らず、再発だけはしないように。これでケガしたら、『サヨナラ』です(笑)。それくらいの気持ちでやってきた」
ジョークはメンタルを取り戻した証でもあった。大会期間中、不振に苦しんだ村上宗隆に自身のSNSを通じビデオ投稿し、励ました。三大会ぶりの優勝後には先輩・ダルビッシュ有とふたりだけの祝勝会もアリゾナで開催した。後は味わった屈辱を自身のパフォーマンスへと変えるだけ。気持ちは整った。
「本当にやってやる、というような。とにかくそれだけ」
鈴木は復帰後5試合で20打数7安打1本塁打4四球。打率.350、出塁率.458をマークする好スタートを切ったが、最初の3試合では13打数で7三振。三振率は.538にもなった。打撃の難しさ、奥深さと必死に向き合った。
「自分で崩しているという感じでしかない。自分でボールを振って、ボールゾーンをストライクにされて、そこを広げてしまって追いかけてという感じ。甘い球だけ振れば簡単だが、それができないのがバッティング。難しいが、そこを我慢したものが勝ちだと思う」