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「クボには開幕前から…今はそれ以上の期待だ」MVP→徹底マークで不発も久保建英21歳“バスクダービー両軍サポの熱視線”をカメラマンは見た
posted2023/04/21 06:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
リーガ29節、アスレティック・クラブ・ビルバオ対レアル・ソシエダ戦の撮影に向かった。
赤と白のユニホームを纏うビルバオ、そして青と白を纏うソシエダ、このバスク州の2傑による戦いは、バスクダービーとして注目を集める。日本代表、久保建英が所属するソシエダが、敵地サンマメス・スタジアムへ乗り込んでの戦いとなった。
ソシエダホームで行われた前回対決、ビルバオにとってみれば――MVPに輝いた久保にゴールを許し、さらには久保のPK奪取によって退場者を出した(さらにその判定が物議を醸した)末に1-3で敗れたため、チームとして、また“対久保”としてのリベンジマッチの様相を呈していた。
ダービーなのに“初対面の両軍サポ”が仲良しすぎ
試合当日の4月15日、ビルバオ空港到着ロビー、最初に目に入ってきたのは、ビルバオで活躍するイニャキとニコのウィリアムス兄弟がポーズを取る、この試合の告知ポスターだった。また住宅地の向こうに、巨大な姿の一部を覗かせるスタジアム直結の一本道には、赤と白のマフラーを巻いた多くのサポーターが溢れていた。この試合への意気込みがひしひしと伝わってくる。
この日の観客数は4万9287人、びっしりと埋まったサポーターがピッチを囲む。
ソシエダサポーターは規定のアウェイ用ゾーンに押し込められていたが、よく見ると、一般シートにもポツポツと青白の姿が見られた。バスク人という同じルーツを持つ両チームだけに、友好的なダービーとも謳われる。最前列で仲良さげにそれぞれのユニホームを着たファン同士が話をしている。
「友達なの?」と声をかけると、ビルバオサポが「そうそう、隣人だしね」と返ってきた。ソシエダサポは「はは(笑)、さっきサンセバスチャンから来たところ、この人とは初めてだよー」と。隣人の尺度に大きな違いは感じるものの、やはり友好的なダービーというのは本当らしい。
“バスク人のアイデンティティ”を感じさせる横断幕
現地16時15分、“UNIQUE IN THE WORLD”と書かれた巨大な横断幕を背景に両チーム選手が入場してくる。
ビルバオは“純血主義”を掲げる世界でも数少ないクラブであり、その所属選手は、バスク生まれもしくはバスク育ちに限定されている。一方のソシエダも純血主義を貫いていた時代もあったが、90年代からは外国籍選手も獲得し始めている。