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「クボには開幕前から…今はそれ以上の期待だ」MVP→徹底マークで不発も久保建英21歳“バスクダービー両軍サポの熱視線”をカメラマンは見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/04/21 06:00
友好と熱狂のバスクダービー。前回対戦でMVPに輝いた久保建英だったが、今回はビルバオの意地の前に屈した
ただ育成に定評のあるチームだけに、スペイン人選手はバスクにルーツを持つ選手が多い。そういった意味でも、リーガ1部という舞台でバスクダービーが行われることの独特さが強調される。整列直後、試合の入りについてのことだっただろうか、久保へ話しかけるシルバの真剣な眼差しからも、この試合への強い意気込みを感じた。
久保のクロスにビルバオサポから「気をつけろ!」
キックオフ直後から、体と体の激しいぶつかり合いが前面に押し出される。ツートップの一角として出場の久保は、この試合何度も相対することとなるユーリ・ベルチチェと対面すると――挨拶代わりとばかりに、縦への突破を試みた。
またこの試合、久保は前節と比べると、外に大きく張るだけでなく、中央まで絞ったポジションを取るなど、広範囲にわたって積極的に顔を出す動きが見られた。
前半20分を迎えようとする時間帯には、ペナルティーボックス角でボールを受けた久保が、小刻みなリズムでボールを操り相手を後退させて、ふわりとクロスを送った。その際には、ゴール裏サポーターから悲鳴のような「気をつけろ」という声――さらにソシエダホームで聞くそれとは音色の違う、「KUBO」という罵声が聞こえてきた。
それは、前回対決時の久保へのトラウマが残っているようだった。
ただ、ホームチームの激しいプレッシングに、ソシエダはなかなかリズムを作ることができなかった。シルバから久保へパスが回ってきた数少ない機会も、前回に続いての活躍は絶対に許さないとばかりに――ユーリだけでなくボランチ、CBからも2人目、3人目とカバーリングに入っていく。結果、久保は縦への突破を試みることがなかなかできなかった。
久保がボールを失うことこそあまりなかったが、自身のポジションから何か違いを生み出すようなシーンは創出できず、ビルバオサポの「KUBO」という叫びが何度も響き渡るような展開には持ち込めなかった。
ファウルすれすれの守備対応に見る“vs久保”への意地
ゲームは前半33分、CKの混戦からガーナ代表でもあるイニャキがボールを押し込み、ビルバオが先制。大型スクリーンに映し出された映像を見てハンドがあったのではないかと主張するような久保の姿もあり、VARも行われたが、ゴールはそのまま認められた。