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三笘薫25歳、最悪の“誤審謝罪”への本音は?「いや、なんにも…」現地記者もホメるミトマの人間性…日本の高校生へ“神対応”も「刺激を与えたい」
posted2023/04/18 20:00
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
AFLO
三笘薫は、いつもより派手に勝利を喜んでいた。
4月15日に行われたチェルシー対ブライトン戦。4−2−3−1の左MFとして先発した三笘は、積極的な攻撃と献身的な守備で2−1の勝利に貢献した。
その試合直後、25歳のアタッカーは両手の拳をグッと握りしめ、勝利の喜びを噛みしめていた。そして、側にいたアレクシス・マクアリステルとペルビス・エストゥピニャンと力強く抱擁。正GKの怪我で急遽出番が回ってきたGKロベルト・サンチェスにはジャンプして飛び乗り、2人そろって満面の笑みを浮かべていた。もちろん普段も勝利後は笑顔を見せているが、この試合に限っていえば、一層気持ちがこもっているようだった。
“誤審謝罪”の嫌な流れ
理由はいくつかある。順位こそ11位と低迷しているが、相手はワールドクラスが揃うチェルシーである。そんな強豪を相手に、逆転劇で貴重な勝ち点3を獲得できたのは、上位進出を狙うブライトンにとって非常に大きかった。
喜びを爆発させた理由はそれだけではない。前節のトッテナム戦で三笘はペナルティエリア内で相手に足を踏まれたが、主審はファウルを見逃し、さらにVARも介入しなかった。試合を優位に進めながら、複数の誤審に泣いて1−2の敗戦──。この時点で4位のマンチェスター・Uとの勝ち点差は10に広がり、ブライトンは来季のCL出場が遠のいたのである。
しかもトッテナム戦の翌日、プレミアリーグのプロ審判協会「PGMOL」が誤審だったとブライトンに謝罪した。だが敗戦の結果が覆されることはなく、ブライトンサポーターは苛立ちを抱えながら今節を迎えることになった。それだけに、チェルシー戦は悔しさを晴らす、あるいは嫌な流れを断ち切る意味において大きな価値があった。三笘は静かに試合を振り返る。
「毎試合厳しい戦いですけど、トッテナムに負けていますし、こういうところで勝つこと(が大事)。いい試合ができたと思います。後半危なかったですけど、しっかり耐えたのは良かったです。もう少し点を決められるシーンもありましたけど、勝ちが一番重要なので良かったです」
「(誤審は)認められて良かったですけど…」
質疑応答は、トッテナム戦後に発表されたPGMOLの謝罪について及んだ。「誤審が認められ、多少スッキリしたか」。記者からそう尋ねられると、三笘は表情を変えることなく淡々と答えた。