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「やっぱり別格だった」ルーニーが明かすアーセナル戦の秘話&アンリを絶賛「単純にプレーを見るのが好き」「自分が注目したのは…」
posted2023/04/17 17:00
text by
サイモン・マロックSimon Mullock
photograph by
Getty Images
現在発売中のNumber1071号掲載の[特別インタビュー]ウェイン・ルーニー「アーセナル戦は別格だった」より内容を一部抜粋してお届けします。<翻訳・構成:田邊雅之>【記事全文は「NumberPREMIER」にてお読みいただけます】
16歳でアーセナル相手にプレミア初ゴール
――君は2002-03シーズン、エバートンでプレミアにデビュー。そして10月19日のアーセナル戦では、プレミアでの初ゴールも記録している。これは当時の最年少得点記録を塗り替えただけでなく、アーセナルがエバートン戦の前まで続けていた無敗記録も止める結果になった。記念すべきゴールのことは今でも覚えている?
「もちろんさ。実は現役時代に決めたゴールは、アーセナル戦が一番多かったんだ。だから16歳のときにアーセナル相手にプレミアでの初ゴールを決めたというのは、ちょっと運命的だったのかもしれないな。あの頃、アーセナルは30試合負けなしを続けていた。そんな状況の中、経験も浅い選手が1-1の状況で交代出場したというのはかなりすごいと思う。
でも、当時の自分はガツガツした10代の若造だったし、先発メンバーに選ばれなかったせいで少し苛ついていたんだ。レクサムとのカップ戦では2ゴール決めていたし、前節で(マンチェスター・)ユナイテッドに負けた試合でもサブで出場していたから、アーセナル戦では当然、スタメンになるだろうと思っていたんだよ。
ピッチに出たのは残り10分のときだったから、なんとかインパクトのあるプレーをしてアピールしようと、無我夢中で走り回ったのを覚えている。そして結果的に点を取ることもできた。ゴールが決まったときは、まるで夢のようだったよ」
――君が決めたゴールは、ティエリー・アンリでさえ褒めたぐらい鮮やかだった。冷静に狙いすましてシュートを打ったようにも見えるけど、実際のところは?
「冷静だったなんてとんでもない! 大好きなエバートンのためにゴールを決めるという目標を叶えたわけだから、むしろ舞い上がっていたね。それにあんな状況だと、狙い通りにゴールを決めるなんて到底できない。ボールがネットに吸い込まれて、味方の選手やファンから祝福される場面を想像することはできるかもしれない。でも、あれは一瞬の判断、本能的なプレーから生まれたゴールだったんだ」
ベンゲルとサー・アレックスのライバル関係
――アーセナルはエバートン戦のショックをしばらく引きずったけど、そこから仕切り直して、2003-04シーズンには無敗優勝を達成していくことになる。エバートン時代、アーセナルというクラブに対してはどんな印象を持っていた?
「アーセナルはユナイテッドと並んで、イングランドの2強になっていた。しかもチームをまとめていたのはアーセン・ベンゲルだろう? 彼はサー・アレックス(・ファーガソン)と同じようにイングランドサッカー界で一番影響力があったし、画期的なチームづくりをしていたんだ。ベンゲルとサー・アレックスは、最近の(ペップ・)グアルディオラと(ユルゲン・)クロップのように張り合っていたし、お互いのライバル関係が、アーセナルとユナイテッドをさらに強くしていったんだと思う。
当時のアーセナルのプレーには、感心させられたよ。あそこには(パトリック・)ビエラ、アンリ、(デニス・)ベルカンプ、(ロベール・)ピレスといった最高クラスの選手が揃っていたし、ベンゲルもそういう選手が才能をフルに活かせるような戦術システムを使っていたんだ」
――君はプレミアリーグで最も優れた外国人選手として、アンリの名前を挙げたことがある。その理由は?