「一発のある選手が多いですし、（それぞれの）クオリティーが高い。層も厚いですし、特に後半は押し込まれた。ブライトンの良いサッカーができましたけど、チェルシーがフルコンディションだったらどうだったかは分からないです。やっぱり強い印象は受けました。彼らは移動もありましたし、疲労は確実にあったと思います。もう少しコンディションが良かったら危ないゲームでした。そういうところも助かりました」

　後半終盤は、ブライトンにも疲労の色が見えた。三笘も守備に追われるシーンが増えたが、後半24分に19歳MFフリオ・エンシソが挙げたスーパーゴールが決勝点となり、2−1の勝利を収めた。三笘も、苦戦の末の勝利だったと話す。

「体力的に厳しかった。やっぱり後半は全員厳しそうでしたし、あそこで耐え切ったのはよかったです。ボールを握りながら、ああいう展開にしてしまったので、自分たちもまだまだコンディションを上げていかないといけない。次のFA杯準決勝、マンチェスター・U戦は延長戦に入る可能性もあります。次の試合に向けて、個人、チームとしても、もっと高めていきたい」

後半24分、苦しい時間帯に決まった19歳エンシソの逆転スーパーゴール。エンシソは17歳のときにパラグアイ代表に初招集された逸材だ　©Getty Images

“日本の高校生”に答えた「1人でも多く、刺激を与えたい」

　チェルシーの本拠地スタンフォード・ブリッジで、得意のドリブル突破でブライトンサポーターを沸かせる三笘を目の当たりにして、思い出したことがあった。

　日本で全国高校サッカー選手権が行われていたさなかの、昨年12月31日のアーセナル戦――。カタールW杯を終えてイングランドでプレーを再開していた三笘にひとつ聞きたいことがあった。それは、ちょうどアーセナル戦の試合前。埼玉県代表の昌平高校の選手がカタールW杯での三笘のプレーに刺激を受け、ドリブルからゴールを決めたとの記事を筆者は目にした。

　そこで三笘本人に聞いてみた。「見てくれている人の幅が一気に広がるという点で、やはりW杯の影響は大きい。高校生にも影響を与えているということを、どう思うか」。三笘は少し笑みを浮かべてこう答えた。

「そういう場所でプレーしている実感はある。1人でも多く、そういうところで刺激を与えられたら幸せです。 そのチャンスがある以上、やっぱりしっかりとプレーしないといけないと感じます。自分のようなプレーヤーがもっともっと上に行くことによって、日本サッカーも個人でどんどん打開できるような選手を増やしていかないといけない。（自分は）そういう役割を担っていると思います」

　チェルシーのチャロバーやウェズレイ・フォファナといったプレミア戦士たちをプレーで翻弄する姿は、日本のサッカー少年たちの目にどのように映ったのだろうか。そんなことを考えながら、筆者は前節トッテナム戦の誤審騒動における三笘の対応にも感心していた。

「（CL出場を）全然諦めてないです」

　トッテナム戦、そしてチェルシー戦も、三笘が試合後の取材エリアで誤審に不満を漏らすことはなかった。「仕方ない」「切り替えたい」。この言葉を繰り返していた。

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