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WBCから1カ月「佐々木朗希vs山本由伸、最初で最後かも投手戦」観戦者は“歴史の証人”だ…スタッツも美しい“完璧と無双の名勝負” 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2023/04/17 17:17

WBCから1カ月「佐々木朗希vs山本由伸、最初で最後かも投手戦」観戦者は“歴史の証人”だ…スタッツも美しい“完璧と無双の名勝負”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

WBCでの佐々木朗希と山本由伸。2人のスーパーエースが初めて投げ合った戦いは非常に上質だった

 ロッテ吉井理人監督には、“ありがた迷惑”な話だったかもしれない。長いシーズンを戦うためにも佐々木をここでフル回転させるわけにはいかず、どこかで降ろすタイミングが欲しいからだ。

「朗希の105球」はプロ2番目の投球数だった

 4回裏、山本は3番中村を空振り三振に切って取る。しかし4番山口航輝、5番安田が連続右前打、ポランコは遊飛に打ち取るも7番の新鋭・茶谷健太の当たりは三塁の宗のグラブに当たって方向が変わる。これが遊撃ゴンザレスのグラブをかすめる安打となり、ロッテに先制の1点が入る。限りなく重い1点だ。しかし山本は立ち直り、5回は藤原を歩かせたもののスコアボードに「0」を刻んだ。

 6回表、佐々木の球が上ずる。オリの7番西野真弘が四球で歩き、8番若月健矢が2-2から143km/hのフォークを弾き返す。緩い当たりだったがこれが中前に抜けて、完全試合もノーヒットノーランもなくなった。緊張感が途切れる。オリは9番太田椋が送って1死二・三塁。しかし1番茶野は三振、2番ゴンザレスは右飛。佐々木はここまで90球である。6回裏、一度はウィンドブレーカーを着込んだ山本だったが、これを脱いでマウンドへ。山口、安田を二ゴロ、ポランコを一塁ポップフライに打ち取り三者凡退。ここで山本は101球となった。

 7回表、佐々木はまたマウンドに上がるが、力投が続いたためか球が上ずり3番森友哉を歩かせた。しかし4番杉本裕太郎は6-4-3の併殺。続く宗は遊ゴロと、渾身のフィニッシュ。105球は、一軍デビュー戦の一昨年5月16日の西武戦での107球に次ぐ、キャリア2位タイの投球数だ。

こんなに肩の凝る投手戦は近年なかった

 2人の主役が降りて、ロッテは二番手・山崎颯一郎を攻略して1点を追加。8回は益田直也、9回は澤村拓一が投げて2-0で勝利した。

 こんなに肩が凝る試合は近年なかった。佐々木朗希と山本由伸は互いの持ち味を出し合って素晴らしい投手戦を演じた。勝敗は時の運として、平日の夜にもかかわらず今季最多の2万9088人が詰めかけた観客席は、歴史の証人になったのだ。

【2023年4月10日~16日 週間成績】
〈パ・リーグ〉
 オリックス4試3勝1敗0分 率.750
 ソフトバンク4試3勝1敗0分 率.750
 西 武6試4勝2敗0分 率.667
 ロッテ5試2勝3敗0分 率.400
 楽 天4試1勝3敗0分 率.250
 日本ハム5試1勝4敗0分 率.200

 オリックスは、佐々木朗希vs山本由伸の投げ合いでは負けたものの、1週間を通じて見ると好調で、首位ソフトバンクを追いかける。日本ハムと楽天は今週は1勝どまりだった。

〈打撃成績上位(打撃の総合指標であるRC=Run Create順)〉
 外崎修汰(西)22打6安2本6点1盗 率.273 RC5.23
 万波中正(日)16打5安2本5点 率.313 RC5.10
 柳田悠岐(SB)11打5安1点 率.455 RC4.83
 近藤健介(SB)16打6安1本3点 率.375 RC4.49
 野村佑希(日)18打6安1本3点 率.333 RC4.19

 西武の外崎が最多タイの2本塁打、最多の6打点と活躍。日本ハムの万波も2本塁打。ソフトバンクの柳田は最多の7四球を選ぶ。日本ハムの野村佑希は先週に続いて好調を維持。ソフトバンク周東佑京はなんと5盗塁と走りに走った。

〈投手成績上位(リーグ防御率に基づくPR=Pitching Run順)〉
 今井達也(西)1登1勝9回 責0率0.00 PR3.20
 髙橋光成(西)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.49
 佐々木朗希(ロ)1登1勝7回 責0率0.00 PR2.49
 エンス(西)1登1勝6回 責0率0.00 PR2.13
 山下舜平大(オ)1登1勝5回 責0率0.00 PR1.78
 田中将大(楽)1登1勝5回 責0率0.00 PR1.78

 西武の今井は4月13日のロッテ戦で今季両リーグ一番乗りの完封。同じく髙橋は15日の日ハム戦で7回零封。ロッテの佐々木朗希は14日のオリックス戦で山本由伸との投げ合いを制して7回零封。救援では5投手が1セーブ、佐々木・山本と同じくWBC組のオリックス宇田川優希が3ホールドをマークしている。

【次ページ】 秋山翔吾の活躍ぶりがものすごい

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