猛牛のささやきBACK NUMBER
大谷翔平&ダルビッシュ有の投げ方で球速UP? 20歳山下舜平大の“とんでもない可能性”と“密かな対抗心”「ゆで卵、やってみたい」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/13 11:45
開幕戦の好投に続き、今季2戦目でプロ初勝利をマークしたオリックス山下舜平大(20歳)。プロ3年目、いよいよブレイクとなるか
チームは9回2死から森友哉の本塁打で追いつき、延長10回に宗佑磨が決勝の本塁打を放ち3-2で逆転勝利。山下に勝ちはつかなかったが、開幕戦を勝利で飾った。
「勝てばなんでもいいと思っていました。本当は、由伸さんが投げて勝つ試合なんで。そこは、由伸さんからも『勝てよ』って圧をかけられていたし(苦笑)。チームとしても勝ちと負けでは全然違うので、意地でも勝ちたいな、という感じで投げていたんですけど、結果、勝ったのでよかった。でもそこから課題を見つけて。外崎さんに粘られて打たれて交代した。回の途中で交代するのは先発としてはよくない。そういう経験も全部含めて、よかったですね」
そして開幕戦から中10日の4月11日の楽天戦で、5回被安打2、失点0、10奪三振の圧巻の投球でプロ初勝利をつかんだ。
高校時代はストレートとカーブだけ
ロマンあふれる大器が、ついに3年目、一軍で躍動した。最速158キロの威圧感十分のストレートはもちろん、落差とキレがありコントロールにも優れたカーブは効果的。それは高校時代から山下が極めてきた武器だ。
福岡大附属大濠高校時代は、ストレートとカーブの2球種だけで勝負した。最初はチェンジアップやスライダーも投げていたが、1年の夏、大濠高の八木啓伸監督に「高校1年の段階でそういう変化球に頼って投げていたら、そこまでの選手。打たれてもいいから、まっすぐをしっかり投げろ」と言われた。
まずはストレートを磨けということ。ただ、変化球も一つは必要だということで、山下が選んだのがカーブだった。
「それぞれ考え方は違うと思うんですけど、僕は変化球の王道というか、基礎というか、それはカーブだと思うし、自分の投げ方にもカーブがマッチしていたので」
当初は、徐々に他の変化球も増やしていくつもりだったが、2球種のみで抑える楽しさにはまり、高校では2球種を貫いた。
野茂英雄にフォークを学ぶ
プロではさすがにそれだけでは厳しいと、フォークの習得に着手したが、昨年までは見せ球として使う程度だった。転機は今年2月の宮崎キャンプ。野茂英雄さんに直接、手首の使い方などフォークの投げ方を教わった。
「全然違いました。初めての感覚でした」と視界が開けたようだった。