箱根出場校からの勧誘も受けた

　その当時、箱根駅伝では早大の大迫傑（Nike）が1区で独走を見せ、箱根の山中では東洋大の柏原竜二が圧倒的な強さを誇っていた。

「やっぱりかっこよかったですね。それに、お正月の家族団欒の場で、駅伝の話をするのも楽しかった」

　彼らの走りに胸を熱くし、その舞台に立つことを夢見た。

　実際に箱根に出ている学校から勧誘も受けた。昨今は5000m14分30秒でも高校百傑に入れないほど高校長距離のレベルは高いが、古川の走りに伸びしろを見出した大学の指導者もいた。

「高校3年間で面白いように伸びて、そういう成功体験もあったので、大学でも競技を続けたいなと思っていました。14分台を出すのが（勧誘してもらえる）ラインだと思ったんですけど、高校の最高記録が15分5秒でも声を掛けていただきました。こんな自分でも声を掛けてくれるところがあるんだったら、そこに行きたいという気持ちになりました」

現在は東大大学院で研究を続けながら、競技を続けている古川大晃さん

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受験は不合格→浪人生活中も走り続けた

　古川自身は関東の大学進学に気持ちが傾いていた。

　しかし、父親や担任の先生らと議論を重ねた結果、国立大進学に舵を切ることになった。

「当初は叶わない夢になっていました」

　箱根駅伝出場は、一度は諦めた夢だった。

　現役では希望校の合格は叶わず、1年間の浪人期間は受験勉強に全力を傾けた。それでも、その間も毎日少しだけ走り続けた。

「勉強だけしているとストレスが溜まるので、1日、10～15分だけ走っていました。結果的には、それが体力を落とさないようなトレーニングになっていました」

　予備校からの帰り道、最寄りの駅に迎えに来てくれた両親に荷物を預けて、自宅まで全力で走った。それが古川にとっての息抜きにもなった。

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