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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根駅伝を目指す東大院生の“高学歴ランナー”…古川大晃が語る、“異色のキャリア”はなぜ生まれた?「箱根出場校からも勧誘を受けましたが…」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/04/13 11:02
現在は東京大学大学院で研究を続けながら、箱根駅伝を目指している古川大晃
熊本大学時代は“島原駅伝”が目標だった
1浪の末、前期試験で広島大を受験したが不合格(全日本大学駅伝に出場していた実績があったことも広島大を志望した理由の1つだった)。後期試験で受かった熊本大に進学した。
「高校でやり切った感が全然しなかったので、もっと記録を伸ばしたいと思っていました」
学問だけでなく、陸上競技にも打ち込むと、5000mの自己記録は14分15秒まで伸び、熊本城マラソンで連覇を果たすなど、めきめきと力を付けた。
熊本大からは関東ローカルの箱根駅伝には出場できないが、九州にも“島原駅伝”と呼ばれる九州学生駅伝があり、チームの大きな目標になっていた。
「先輩たちが島原駅伝を目指していて、それが楽しそうでした。自分もそこで活躍したい、と思っていました。区間賞を取ると、チームメイトが喜んでくれるのがうれしかったですね。熊大での経験は素晴らしいものでした」
箱根駅伝は走れなくとも、新たなモチベーションのもと、古川は走り続けた。
熊本大を卒業した後に九州大大学院に進学したのも、島原駅伝で優勝を目指すことが志望動機の1つになっていた(もちろん学問の面も大きな理由だが)。
九州を拠点としながら「箱根勢」と初めて対戦
もう1つ、古川が目標にしていたのが全日本大学駅伝だ。大学でも成長し続けた古川は、全日本大学選抜、日本学連選抜の一員として3度、同駅伝に出場している。
「小中高と全国大会を経験したことがなくて、全国の舞台を初めて経験しました。これから走るぞっていうときは、すごくうれしかったです」
3年時、初の全国の舞台では5区区間12位と好走。箱根駅伝を走った関東勢にも勝利している。
「最初は思った通りに走ることができました。箱根の選手たちを何人か倒せて“少しはやれるんだ”っていう自信がつきました。
でも、そこから何回か出場して、区間順位がなかなか上がりませんでした。上位校の層の厚さを痛感しました。それに、最初は出られた満足が大きかったんですけど、出るのが当たり前になってくると、勝負できないと面白くないなって思うようになりました」
熊本大4年時は6区15位、九州大大学院1年時は7区14位と、いずれも関東勢に割って入る健闘を見せたものの、手応えと力不足とを実感した。
そして、九州で学業と競技を両立させていた古川に転機が訪れる。《つづく》
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