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「デカっ!」石川祐希が2mのフランス代表より大きく見えるのはなぜ? 初公開イタリア自炊生活「トマト、食べられるようになっちゃったんですよ」
posted2023/04/07 11:04
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano
「デカっ」
ライトが映えるミラノのホームアリーナ、アリアンツクラウドに立つ石川祐希を見た時、心の声を思わず発してしまった。
2月19日、石川は慣れ親しんだコートの横で、20時半から始まる試合に向けて入念に身体を伸ばし、刺激を入れ、戦う準備を整えていた。思わず声が出たのは、片脚をグッと前に踏み出して重心を落とした際のハムストリングスと、上体を前屈した際に盛り上がった背中を見た瞬間だった。
隣には、フランス代表オポジットの208cmジャン・パトリが立つ。身長だけを比べれば192cmの石川より16cmも上回るパトリが大きく見えるのは当然のはずだが、同じような動きをしているにもかかわらず、明らかに筋肉の張りも大きさも違う。圧倒的にデカく見えるのはむしろ石川のほうだった。
決して錯覚ではない。身体の変化を石川自身も実感していた。
「大きくなったと言われるのは嬉しい」
「日本からトレーナーさんに来てもらって、練習中の動画も撮影してもらったんです。それを見返したら、意外とちっちゃくないな、と。実際高さだけで見たらジャンやマッテオ(・ピアーノ/209cm)と比べたらちっちゃいですけど、そんなに見劣りしない。身体づくりにはかなり気を配っているので、『大きくなった』と言われるのは嬉しいですね」
石川がイタリアで戦うのは今季が8シーズン目となる。世界最高峰と言われる場所で渡り合うために、バレーボールの技を磨くだけでなく、トレーニングや食事、休養と身体づくりに注力してきた。毎日決まったルーティーンに則って、睡眠は8時間、自宅ではストレッチや超音波を用いた治療を行う。食事は2018年から明治の栄養サポートを受け、管理栄養士による指導を受けている。
石川が初めて栄養指導を受けたのはアンダーカテゴリーの日本代表に選出された10代の頃。だが当時から栄養に対する意識も知識も高く、当時のスタッフによればバイキングで選ぶ食材や料理は「ほとんど指摘するところがなかった」。
それでもあえて、プロアスリートとなってからも専属トレーナーとの契約を結び、栄養サポートを取り入れてきたのには理由がある。