Number ExBACK NUMBER
「中心はイシカワだ」石川祐希27歳がイタリアで放つ存在感「僕の名前が呼ばれた時にミラノが一番盛り上がった」<現地インタビュー>
posted2023/04/05 17:00
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano
現在発売中のNumber1070号[現地インタビュー]石川祐希「現状維持じゃ、面白くない」より内容を一部抜粋してお届けします。<記事全文は「NumberPREMIER」にてお読みいただけます>
ローマで沸き起こった大声援「ちょっと認められているのかな」
赤、白、緑。イタリア国旗に見立てたファイナルラウンドの特別に演出されたコート。独特の緊張感と高揚感が漂う中、チーム名に続き、選手名がコールされる。
「ナンバー14、ユーキイシカワ!」
2月25日、コッパイタリアのセミファイナル。ミラノ対トレント。ホームの地、ミラノからは476km離れたローマで沸き起こった大声援は石川祐希の心を燃やした。
「ローマには(セリエA1男子の)クラブはないので、試合をすることは滅多にありません。でもそこにあれだけのお客さんが入って、(入場時に)僕の名前が呼ばれた時にミラノの中で一番盛り上がったように感じました。そういう歓声を聞くと、ちょっと認められているのかな、と思うし、嬉しいですよね」
これが日本や、フィリピン、タイなど日本びいきの女性ファンが詰めかけるアジア圏ならばその人気も納得できる。だが1万人以上が詰めかけたパラッツォデッロスポルトローマで、野太い声やブーイングが鳴り響く中、イタリア人ではなく、五輪のメダリストでもない石川に大きな歓声が送られた理由――。
コートで見せたパフォーマンスが、すべてを物語っていた。
相手のサーブで狙われても難なく返し、すぐさま攻撃準備に入る。打つ場所、助走の位置、相手のブロックとレシーブを見ながら瞬時に判断し、時にスピード、高さ、絶妙なテクニックで魅せる。序盤からトスが集まる中、上げれば決める、と言わんばかりの攻撃力を見せ、24対24からデュースへ。30点を超えた攻防に決着をつけたのも石川だ。長いラリーが続く中、2枚ブロックをものともせず、豪快にバックアタックを放ち、決める。