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「甲子園で勝てなくなった。なぜ…」歴史的センバツV・山梨学院の吉田監督はいかに“再起”したか? 試合後に語った「優勝で帳消し」の真意

posted2023/04/02 17:01

 
「甲子園で勝てなくなった。なぜ…」歴史的センバツV・山梨学院の吉田監督はいかに“再起”したか? 試合後に語った「優勝で帳消し」の真意<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「この優勝で少しは帳消しにしてもらえれば」。センバツを制した山梨学院・吉田洸二監督のコメントである

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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Nanae Suzuki

 青い空と白い雲。

 かの名物アナウンサー、植草貞夫の名調子のような景色が広がる甲子園球場で、スカイブルーが欣喜雀躍(きんきじゃくやく)のごとく飛び跳ねる。

 4月1日。青のアクセントカラーが鮮やかなユニフォームをまとう山梨学院が、センバツで山梨県勢初となる全国制覇を成し遂げた。

 2009年に長崎県勢で初の日本一をもたらした清峰に続き、山梨県でも新たな扉を開いた監督の吉田洸二は優勝監督インタビューで、やや恐縮したような表情で言った。

「毎年のように期待を裏切り続けてきたので、この優勝で少しは帳消しにしてもらえれば」

 帳消しのはじまり。それは、2年前の21年にあるのかもしれない。

2年前の「後悔」…痛感した未熟さ

 この年の夏。山梨学院は山梨大会準決勝で富士学苑に敗れた。長打が出れば逆転サヨナラの9回1アウト満塁の場面を作りながら、1年生のサードランナーが牽制球で刺されチャンスを潰すなど、らしくないプレーも目立っての敗戦だった。

 それまで4大会続いていた夏の甲子園出場記録が途絶えて間もない頃。吉田は穏やかだった。グラウンドで怪我をして動けなくなっていた“雀”を「生徒と同じくらい気になってしょうがないんです」と優しく介抱しながら、自分の未熟さを訥々と紡いでいた。 

「下級生が試合に出るということは、それだけ能力が高い反面、悪く言えば、中学から活躍しているので野球を甘く見ているところがあるんです。それをわかっていながら公式戦の怖さとか野球の厳しさを教え切れなかったことも含めて、私が『油断』という言葉を使うことが軽いほど、勝負師として成長がまだまだ足りないんだなって思わされました」

 言葉が訴えるように猛省はしていた。ただ同時に、吉田はこうも感じたという。

「これは野球の神様からのメッセージなのかなって、私は思っているんです」

【次ページ】 甲子園で勝てない…「心が重くなっていた」

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