猛牛のささやきBACK NUMBER
大谷翔平が最後のマウンドへ…ブルペンの宇田川優希が見た景色とは? 大谷に学んだ“パスタは塩だけ”「ダルさんにガッカリされないように」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byGetty Images
posted2023/03/30 11:04
大谷翔平と記念撮影する宇田川優希(24歳)。最後のマウンドに向かった16番の“後ろ姿”が記憶に刻まれた
宇田川は、「自分はピンチの場面で投げる立場。でもブルペンで応援する身としては、僕の出番が来ないことが一番なので、そこは難しい部分でした」とWBCを振り返る。
昨年の今頃はまだ育成選手だった。7月末に支配下登録されてから約半年で日本代表に選出され、栗山監督からの電話に驚き、代表合宿当初はあまりの環境の変化に戸惑った。その選手が、登板機会が少なかったことをこんなに悔しがっている。
今はもうスッキリした表情で、その悔しさを、まもなく開幕するシーズンへの燃料にしている。そして振り返るたび、WBCで得たものの大きさをひしひしと感じていた。
「去年日本一になって、なんか、『このままもっとこうやれば成長できるかな』ぐらいな感じで考えていたんですけど、WBCに行って、周りのトッププレーヤーの行動やトレーニングを見ていると、自分がちっちゃく感じて。『このままじゃダメだ』と思えた。はたから見たら僕の行動はまだ甘いんだなって。いろいろとしんどいこともあったんですけど、そういうことを知れたのはすごくよかったし、いろんな選手と仲良くなれた。よかったです、みんなに出会えて。本当にWBCに選ばれてよかったと思えた。すごく感謝しています。選んでくれた栗山さんに」
パスタには塩「大谷さんの食事、すごかった」
代表合宿に参加する前、「ダルビッシュさんや大谷さんには特に食生活のことを聞いてみたい。自分が一番苦手な部分なので」と語っていたが、実際にダルビッシュに話を聞いたり、大谷の食事を観察して驚いたという。
「大谷さんの食事、すごかったです。試合前は、ご飯大盛りに、ゆで卵5、6個に、ブロッコリーとサラダだったので、何をおかずにして食べるんだろう?と思って。あとはパスタも塩で食べるという話をしていました。
近藤(健介/ソフトバンク)さんは、ツナ缶にケチャップをかけて、肉か何かを焼いてパスタにかけるのが好きとか……そこはちょっとあんまり聞いていなかったんですけど、そんな話をしていたら、大谷さんが『俺は塩』って。近藤さんが、『それ人生つまんなくね?おいしくないじゃん』みたいな感じで突っ込んでいましたけど、大谷さんは『おいしい』と言っていました。僕が食べてもたぶんおいしいとは思えないんで、すごいなと」
「そりゃいろいろ乗せて食べたいですよねぇ」と、大会前に減量が話題になった宇田川についうかつなことを言ってしまったが、そんなあおりには乗らず、こう言った。