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《MotoGP開幕!》好調の弟アレックスと不振続く兄マルク、明暗分かれたマルケス兄弟の初戦が明示するシーズンの行方 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2023/03/24 11:02

《MotoGP開幕!》好調の弟アレックスと不振続く兄マルク、明暗分かれたマルケス兄弟の初戦が明示するシーズンの行方<Number Web> photograph by Satoshi Endo

ホンダ時代よりも伸び伸びと楽しげにテストをこなしたアレックス・マルケス。勝てるマシンを得た今季の走りが注目される

 Moto2時代にアレックスのチーフメカを務め、現在マークVDSのテクニカルダイレクターを務める金子直也氏は、こう分析する。

「アレックスはMoto3とMoto2でチャンピオンになっているし、バイクを速く走らせる術を良く知っている。この数年、転倒が多かったのは、ブレーキングでしかタイムを縮める方法がなかったからだと思う。だから無理をして転んでしまう。真面目な彼の一所懸命さが、結果的に転倒につながってしまった。Moto2時代には(いま全盛の)カレックスの善し悪しを的確に評価していたほど、アレックスはバイクのことを良く知っているし、コメントも実に正確だった。カレックスも彼のことを高く評価していた。チームがアレックスの能力を最大限引き出せば、いい結果がついてくると思います」

 アレックスには「ドゥカティは話を良く聞いてくれる。ホンダではなかったことだ」という発言もあるが、金子氏の言葉からはその内実が窺い知れるかのようだ。

明暗分かれたマルケス兄弟

 昨年までのアレックスは、ほとんどのセッション、レースで、ホンダ陣営中最下位になることが多かった。だが今年は兄マルクをテストで凌ぎ、強豪が揃うドゥカティ勢の中でも上位につけた。

 マドリードで兄と一緒に暮らすアレックスは、テストでマルクのタイムを上回ったときに「家の鍵が替わってなければいいけど」とジョークを言った。その言葉は兄の苦悩を言い表しているようでもあり、実際に今年のホンダ勢がアレックスの前を走るのはそう簡単ではないだろう。

 今季は2チーム4台体制のホンダだが、ウインターテストはマルクを中心に進行していた。効率的にテストメニューをこなすためマルク中心で、という考え方もあるのだろうが、ホンダには経験と実力のあるジョアン・ミルやアレックス・リンスもいるわけで、彼らからインフォメーションを引き出すことが正しいバイク作りの鍵を握るような気がする。

 開幕直前に伝わったホンダがカレックスに車体の制作を依頼したというニュースは、まさにホンダの苦悩を証明しているかのようだ。

 この記事が公開されて数時間後には、いよいよ開幕戦のフリー走行が始まる。果たしてどんな結果になるだろうか。ホンダであれドゥカティであれ、どのライダーも異口同音に「テストとレースは違う」と語るが、そこにサプライズはあるのだろうか。まずは42分の2の戦いに注目したい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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