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《MotoGP開幕!》好調の弟アレックスと不振続く兄マルク、明暗分かれたマルケス兄弟の初戦が明示するシーズンの行方
posted2023/03/24 11:02
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
2023年のロードレース世界選手権が、3月24日にポルトガルのアルガルベで開幕する。
今年はMotoGPクラスに「スプリントレース」が導入され、グランプリ史上初めて1大会2レース制となる。スプリントレースは土曜の午後に日曜の決勝レースの半分の距離で争われ、ポイント獲得は9位まで。1位なら12ポイントが与えられる。
そして日曜の決勝では従来通りの距離を走り、ポイント獲得は15位まで。こちらは1位なら25ポイントだ。今年は史上最多の21戦が開催されるので、合計42レースでチャンピオンシップが争われることになる。
2月のセパン(マレーシア)、そして開幕の2週間ほど前にアルガルベで行われた事前テストでは、4チーム8台を擁するドゥカティが圧倒的に強く、それに進境著しい2チーム体制のアプリリアが続いた。その2強の優勝争いに、一昨年のチャンピオンで、今季1チームとなったヤマハのファビオ・クアルタラロが加わるというのが、テスト結果から見る開幕戦の大方の予想である。
かたやホンダは今年も厳しい戦いとなりそうで、エースのマルク・マルケスをはじめとするライダーたちはテストでだいぶ苦労しているように見えた。マルクの実弟アレックス・マルケスは昨年までホンダで苦労していたが、今季はドゥカティに移籍して素晴らしい走りを見せている。その事実は、ホンダのマシンの戦闘力不足を証明しているかのようだ。
ドゥカティで取り戻した自信
開幕戦ポルトガルGPに向けて最後のテストを終えたアレックスは、今年のウインターテストの仕上がりをこう語った。
「開幕が近づいてワクワクしている。テストはとてもポジティブだったし、自分の力を早く試したい。ドゥカティをもっと知るためにもう数日テストをしたかったが、すでにいいところまで来ていると思う。開幕後の3〜4レースは、マシンの動きに身体を正確に反応させること、いいフィーリングを見つけることが鍵になると思う。今年はスプリントレースで発見することもあると思う。とにかく自信をもって挑みたい」
ホンダ時代のアレックスはウエットや路面コンディションが変化するレースではシングルフィニッシュを果たすこともあったが、ドライコンディションで一発の速さが要求される予選ではいいグリッドを得られず、決勝では厳しいレースを強いられた。ライダーの努力でなんとかしようと試みるも、コーナーの進入で無理をしすぎて転倒することが多かった。