酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「WBC優勝と栗山マジック」MVP大谷翔平の完璧二刀流、ヌートバーや村上宗隆らを信じ続け、“使えない投手”を生まず…名将な成績の数々
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/23 17:01
今回のWBCでは栗山英樹監督の手腕も光った大会だった
ヌートバーから大谷までの3人の打率が4割を超え、19安打16四球で19得点と圧倒的な得点力だった。村上宗隆はわずか2安打だったが、5番を打っていた吉田正尚が.417と当たり8打点。岡本和真も2安打だけだったが、1~3番と5番打者が絶好調だった。下位打線でも中野と牧が良く当たっていた。
ヌートバーと近藤、村上が苦しんでも栗山監督は…
〈準々決勝以降の3試合〉
ヌートバー3試12打0得1安0二0本1点0盗2球 率.083
近藤健介3試11打2得2安0二0本0点0盗3球 率.182
大谷翔平3試11打4得4安1二0本0点0盗3球 率.364
吉田正尚3試10打3得4安0二1本5点0盗2球 率.400
村上宗隆3試12打4得4安3二1本4点0盗1球 率.333
岡本和真3試8打3得4安1二2本6点0盗3球 率.500
源田壮亮3試8打0得2安0二0本1点1盗3球 率.250
山田哲人3試6打0得2安0二0本0点2盗3球 率.333
牧秀悟2試5打0得0安0二0本0点0盗0球 率.000
甲斐拓也2試4打0得0安0二0本0点0盗1球 率.000
中村悠平3試2打0得0安0二0本0点0盗2球 率.000
山川穂高1試0打0得0安0二0本1点0盗0球 率-
周東佑京1試0打1得0安0二0本0点0盗0球 率-
大城卓三1試0打0得0安0二0本0点0盗0球 率-
中野拓夢1試0打1得0安0二0本0点0盗0球 率-
牧原大成2試0打0得0安0二0本0点0盗0球 率-
1番ヌートバー、2番近藤健介の打率が急落している。ヌートバーは慣れない環境の中で重圧を感じながらの奮闘であり、無理からぬところもあった。また近藤を含めた2人へのマークは試合を重ねるとともに厳しくなったはずだ。もちろん2人のバットが湿っていることは栗山英樹監督は承知だっただろうが、この上位打線を変えなかった。それは「良い空気」を維持したいとの気持ちからだろう。2人は合わせて3安打とはいえ、5四球を選んでいる。出塁への意欲は衰えていなかったし、アメリカとの決勝ではヌートバーの内野ゴロが貴重な打点となった。
大谷翔平は引き続き好調を維持。この選手の肉体はどうなっているのかと思わざるを得ない。吉田正尚も好調を維持。トータル13打点は今大会の打点王だ。
すべての野手に「3試合以上」の出場機会を与えた
栗山監督は準々決勝から4番の村上と5番の吉田の打順を入れ替えた。その途端に村上宗隆と岡本和真が復調し、2人で8安打4二塁打3本塁打10打点の荒稼ぎ。これはマジックともいえる采配だ。ともにセ・リーグの本塁打王である2人は、チームでは不動の4番打者であり試合数を重ねれば必ず結果を出してきた。栗山監督の信頼が、後半戦の活躍につながったと言えよう。
また山田哲人も決勝戦ではMLB屈指の強肩リアルミュートから2盗塁。選手個々がそれぞれの持ち味を存分に見せた。後半3試合では、周東以下の4選手は打席に立たなかった。これは仕方がないところだが、栗山監督はわずか7試合ですべての野手に3試合以上の出場機会を与えた。
続いては投手成績を見ていこう。