欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英がELで味わった「先発落ち→敗退」での怒り・悲しみを撮った「タケ!と不調ソシエダサポが期待したが…」〈代表合流前にゴール〉
posted2023/03/21 11:01
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
3月16日、ヨーロッパリーグ・ラウンド16第2レグの試合が各地で行われた。
スペイン北部バスク地方、美食の街サンセバスティアンでは、久保建英所属のR・ソシエダ対ローマの一戦が行われた。21時にキックオフされた試合は、90分無得点のまま終了を迎えた。この大一番に向けた会見で、「ローマに勝利し、チームの歴史の一部になりたい」と意気込みを語った久保だったが、大方の予想を裏切りベンチスタートとなった。
後半に入った72分に投入されたものの、与えられた短い時間でチームに得点を与えることはできなかった。第1レグの結果により、ソシエダのELでの挑戦は終了した。
カメラを持っていると「TAKE!」の声かけ
試合前日はCLのレアル・マドリー対リバプール戦の撮影があったため、マドリード空港から向かったが――サンセバスチャンへの機内には少なくない数のローマサポーターの姿を目にした。
また、CLナポリ対フランクフルト戦の取材からこの一戦に向かう記者にも出会った。
空港から出ると、タクシー乗り場の手すりにはローマのステッカーが貼られていた。前日入りしたサポーターによるものだろう。街では、試合まではまだかなり時間があるというのに、青と白のユニホーム姿で出歩く人も多い。ランチに入った古いバルでは、食事中の年輩の夫婦がいた。奥さんのジャケットの胸に見えた、小さなチームエンブレムが可愛い。
サンセバスティアンの街に、この一戦への意気込みが充満しているのが伝わってくる。
試合開始2時間ほど前のスタジアム付近で警察とサポーターが揉める事態があった。チームバスの入りに合わせて多くのサポーターが集まっていたのだが、一部の過激派が警備にあたる警察とやり合ったのをきっかけに、発煙筒が飛び交う事態に発展した。
ファンの期待値が高いのになぜか先発落ち
こんな雰囲気の中で確実に、現地サポーターからの久保への期待が低くないことを感じ取っていた。ホテルの受付でも「あなたもサッカーを見にきたの?!Takeだろ。逆転に期待しよう」と話しかけられた。スタジアム周りでもカメラを持っていると「TAKE!」と声がけしてくれるほどだ。
スタジアム内、観客席にも多くの「Take」へのメッセージが掲げられた。ここ9試合の公式戦で1勝しかできていないチームで、1人気を吐いているのが久保だと、皆分かっているのだろう。
それだけに、この日の先発イレブンには目を疑ってしまった。“切り札としての起用だろうか?!”とも考えたが、そうなると直近12日に行われたマジョルカ戦での、終盤81分からの起用が納得いかなくなる。すでに歯車が狂い始めていたのだろうか。