オヤルサバルを先頭にソシエダのメンバーがアップに現れると、大きな歓声が湧き起こる。ローマのメンバーが姿を現すと、大きなブーイングがスタジアムを包む。その中で久保は、やや憮然とした表情を見せながらサブメンバーとしてアップに臨んだ。

　選手入場時、スタジアムの熱気は最初のピークを迎えた。逆転劇への期待は高まるばかりだった。

モウリーニョ率いるローマに押し込まれる展開に

　ただローマのキックオフで始まった試合は、そのままアウェイチームが押し込む展開に。徐々にダビド・シルバを中心にソシエダがポゼッションを上げ、ローマ陣内で試合を展開するようになるが、ローマ監督モウリーニョの統率する鉄壁の守備網を前に、縦にボールを付けることができず、大きな決定機を作ることができないまま前半を終えてしまった。

　VARによって取り消されたが――前半終了間際、CKからローマにゴールを破られてしまうシーンもあった。少なくとも2得点が必要な試合、早い時間帯での得点が生まれていれば――更なる熱気がスタジアムを包み、それが相手へのプレッシャーとなり、好循環につながるが、前半を終える頃には、サポーターの熱も一旦の落ち着きを迎え始めてしまっていた。

久保がアップに登場すると再び「TAKE！」の声

　ハーフタイムでの交代は無いまま、残り45分が始まった。すると開始早々、一つの分岐点があった。ゴール前で一瞬フリーになったセルロートにブライス・メンデスからのクロスが入った。しかし気負ったか、枠を捉えることができなかった。さらにソシエダが押し込み、ローマが跳ね返す展開が続く。最前線から必死にプレスをかけるが、剥がされてしまう。

　またローマのあからさまな時間稼ぎには、主審からも注意が入るが、警告は受けない強かさに、スタジアムからは大きなブーイングが響いた。ピッチ脇では、久保がアップに登場すると、サポーターから「TAKE！」という声がかかる。チームのピンチに、必死に抗議する久保の姿も見られた。監督の采配に思うことはあるだろうが、チームの勝利が最優先であることは変わらない。

　最初の交代はCFセルロート、同じポジションのカルロス・フェルナンデスが呼ばれ、久保に声はかからないままだった。

　68分、オヤルザバルが大きなチャンスを掴む。CKからのシュートは、GK正面で弾かれ、すかさず反応して蹴り込んだボールもクロスバーに嫌われてしまった。

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