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久保建英がELで味わった「先発落ち→敗退」での怒り・悲しみを撮った「タケ!と不調ソシエダサポが期待したが…」〈代表合流前にゴール〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/03/21 11:01
EL敗退となった久保建英とソシエダ。しかし直後のリーグ戦で久保はゴールを記録している
後半に入り、明らかにローマゴールに迫る機会は増えていったが……ゴールを奪うことはできなかった。そして72分、久保はオヤルサバルと交代してピッチに入った。監督の指示が届いてから、わずか2分でピッチインしている。交代選手がライン際にきた際にもまだ靴紐を結んでいる最中であり、とにかく早くピッチに入るという強い意気込みを感じさせた。与えられた時間でドリブルを仕掛けつつシルバと連携、そしてシュートを狙っていったが、固い守備網を突破し切ることはできなかった。
怒りや悲しみなどが入り混じった試合終了直後
終了のホイッスルが鳴らされると、久保はそのままロッカーに引き返していく様子が見られた。スタッフなどに促されサポーターの前に歩を戻した久保だったが、その表情からは、怒り、悲しみ、やるせなさと、さまざまな感情が混在し、整理できぬままなことが伝わってくるものだった。
またソシエダサポーターへの気遣いだっただろうか、大方のファンがスタジアムを去った後、まだ残るローマファンへモウリーニョが姿を見せ挨拶をするシーンがあった。
ローマの城壁を前に、何度か決定機を作り出すことはできたソシエダだったが、不調の原因にもなっている得点不足を解消することはできなかった。そこに、久保先発落ちのポイントもあっただろうか。不調のソシエダの中で久保のプレーが出色だったのは間違いないが、ゴール、アシストという数字を残すことができなかったのもまた事実だ。勝ち抜けるためには3ゴールが必要なこの試合、早い時間帯でのゴールが望まれるのは必然だった。
チーム得点王のセルロート、負傷以前にはチームを引っ張り続けていたオヤルザバル、そして久保投入より先に交代出場したフェルナンデスは、マジョルカ戦での開始3分のゴールが評価されたか。個人的には、ブライス・メンデスではなく久保の先発であったならば――と。
リーガ序盤戦、ゴールを量産しチームを勢いづけたのは、ブライス・メンデスで間違いない。ただカタールW杯を経てのリーガ再開後、ゴールの匂いが消えていることが気になる。元々アシスト数自体は多くなく、シルバとの相性を考えると久保に利はあったようにも思うが、イマノル監督にとっての絶対的選手にはなっていなかったということか。
とはいえ、この悔しさを久保は、成長につなげるはずだ。実際、直後の週末に行われたエルチェ戦でダビド・シルバからのスルーパスを受けて今季リーグ戦5ゴール目を挙げている。すでに本人は、数字を残すことに意識を向けてきたが――さらなる飛躍を見せるために、ゴール、アシストは大きなキーになるのは間違いない。
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