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WBC世界一奪回のカギはダルビッシュの愛弟子2人が握る! 宇田川優希は「代表を辞退しろ」からダルの助言で…伊藤大海「夢をもらった人」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/03/20 11:04
侍ジャパンの宮崎キャンプでダルビッシュ有の”教え”をうけた宇田川優希。最終決戦に向け侍ジャパンの”スクランブルエース”として期待される
回の途中、走者を置いた場面で投げることが多い伊藤と宇田川には、その日の継投で決まった順番はない。試合の状況を見ながら何度もブルペンで肩を作り、ピンチの場面でいきなりマウンドに上がる。1球の失投も許されない。目の前の打者を、とにかく力で抑え込むのが仕事だ。そういうピッチングが求められるし、そこで相手をねじ伏せる真っ直ぐと空振りを取れる球種があるから任されている役割でもある。
伊藤と宇田川の共通点には”あの選手”
過酷な仕事を与えられる2人には、もう1つ、チームの中での共通点がある。
それは今回の侍ジャパンで投手陣を引っ張るダルビッシュの“愛弟子”として、特別な薫陶を受けてきたということだ。
たこつぼ漁師を父にもつ伊藤は、もともと北海道鹿部町出身で、子供の頃から日本ハム時代のダルビッシュは憧れの存在だった。今年の1月には日本ハム繋がりでダルビッシュに誘われて、サンディエゴで2人で自主トレを行う師弟関係でもある。
「野球に取り組む姿勢。普段どんなことを考えているとか、どんな風に試合に向けて準備をしているのかを、一緒に行動して感じることができた」
帰国後に伊藤は自主トレをこう振り返った。
一方のダルビッシュも「最初はなかなか話してくれなかったけど、最後は友達として認めてくれた気がします」とツイッターにアップ。そして「WBCで一緒のチームで野球が出来るのが楽しみです」とそのときから再会を楽しみにしていたのである。
宮崎の事前キャンプでは、そんな2人が並んでブルペン入りもした。そうして技術だけではなく思考方法、メンタル、目標の立て方と伊藤が受けた影響は計り知れない。
「憧れの存在というか、夢をもらった人。投手としての理想像。超えていきたいと思う人」
伊藤のダルビッシュへの敬愛は止まらない。
「代表を辞退しろ」批判を受けた宇田川にダルが…
一方の宇田川はご存知のように、その宮崎キャンプでダルビッシュのお気に入りとなった右腕だ。