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岡本和真「最高です」ツンデレ6連発に3ラン5打点の大爆発は、なぜ起きた?「大谷さんには”ナイスプレー!”と言っていただきました」
posted2023/03/17 20:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Getty Images
低いテンション。独特の間。そしてすべての質問を、たったひと言で片づけてしまった。
「最高です……」
準々決勝のイタリア戦快勝に沸く東京ドーム。試合後のヒーローインタビューでお立ち台に上がった岡本和真内野手の言葉に、スタンドのボルテージがどんどん上がっていく。
ベスト4進出を決めたことを聞かれ、東京ドームでの一撃を聞かれ、ダイヤモンドを一周した気持ちを聞かれ、WBCでの初アーチを聞かれ、ファンの大歓声を聞かれて……独特のトーンで繰り返された「最高です」の5連発。その緩さに逆にスタンドがどんどん盛り上がっていったのだ。
そして最後に「日本を代表して、この戦いへの意気込みを聞かせてください」と問われた瞬間だ。
「え~……もう~……」
一瞬、真面目に語り出そうとした岡本に、今度はスタンドが「『最高です』じゃないのかよ!」とばかりに爆笑のツッコミを入れる。バツが悪そうに右、左と見回したヒーローは、すぐさま空気を察知してほんの少しだけ力をこめてこう語った。
「最高です!」
この日最高の歓声と爆笑が巻き起こってファンの抱いた期待にしっかり応えた――それが岡本和真だった。
試合の流れをぐいっと引き寄せた3ランは3回だ。
1死一塁から大谷翔平投手の意表を突くセーフティーバントでチャンスを広げ、4番の吉田正尚外野手の内野ゴロの間に1点を先制。さらに村上宗隆内野手の歩いた2死一、二塁で打席に入ったのが岡本だった。
「うまく(バットにボールが)乗ってくれたので、いい感じで打球が上がってくれた。緊張感がある中で体が止まっていたので、今日は動きながら打ちにいこうと意識しました」
カウント2ボール2ストライクからの6球目。外角に流れる125㎞のスライダーに泳がされながらも、最後は左手1本で左翼席まで運んだ。岡本にとってはこの大会初の長打は、試合を動かす貴重な3ランとなった。
村上に続くタイムリー「僕ら2人、打っていなかったですし」
続く5回の左中間への適時二塁打は、この日5番に降格した村上宗隆内野手の大会初タイムリーとなる二塁打に続いた一撃だ。