「ネクストから見ていました。滅茶苦茶いい当たり、らしい当たりというか。もともと心配はしていないんですけど、もう大丈夫じゃないかと思うし嬉しかったですよ。僕ら2人、打っていなかったですし」

　当たりの出ていなかった2人の長距離打者が打てば、遮断されていた上位と下位の打線がしっかり線としてつながり9対3の圧勝で日本は4強進出を果たした。

本塁打を放ち、大谷（左）、村上（右）から祝福をうける岡本　©︎Naoya Sanuki

「何とか勝ってアメリカに行きたかったんで、打てて良かった。皆さんが繋いで繋いで勝った試合。今はなんとか打線を切らないようにと思って打席に立っているので、それを継続していきたいと思います」

　東京五輪では代表メンバーから外れて悔しい思いをした。そして今回も同じ三塁のポジションには史上最年少の三冠王を獲得して日本の主砲として期待された村上がいる。

「何でもやります」

貴重な右打者として期待は高かったが…

　こう宣言して代表入りすると三塁だけでなくファーストミットに外野手用のグラブを持って宮崎に入ってきた。

宮崎キャンプでは外野守備の練習も　©︎Hideki Sugiyama

　しかし三塁だけでなく一塁には山川穂高内野手に牧秀悟内野手、山田哲人内野手がいて、左翼はメジャーから参戦する吉田正尚外野手がいる。当初は控え確実と見られていたが、キャンプでなかなか状態が上がらない他の野手陣を尻目に好調を維持。大会直前にはシカゴ・カブスの鈴木誠也外野手がケガで離脱したこともあり、貴重な右打者として首脳陣の期待は、日を追うごとに高まってきた。

　2月26日のソフトバンクとの強化試合では無死三塁からしっかり右方向にゴロを転がし、三塁走者を還す打撃を見せている。長打だけではない。状況に応じてそういう最低限の仕事をやり切る意識が徹底されているのも、首脳陣が使いやすい1つの理由だ。

　ただ、左が続く打線の中に入ることで苦労はいつも以上に大きい。

「自分のチーム（巨人）なら、必ず坂本（勇人内野手）さんとかが前にいるので、相手投手のその攻めとかを見て打席に入る」

「徐々に6番にも慣れてきたかなと思うし」

　こう語るように1次ラウンドで先発した3試合は、1番から左が続くなかで最初の右打者として打席に入ってきた。この試合も1番のラーズ・ヌートバー外野手から5番の村上までズラッと左が並ぶ左打線だ。その結果、海外の初見の投手を相手に、右打者への攻め方、配球の傾向も判らないままに打席に入らなければならなかった。

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