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ヌートバーが両親から「仕事をしろ」と言われた日…朝4時から週6日の肉体労働、本人が振り返る「現実と向き合う経験になった」ハードな夏
text by
ブラッド・レフトンBrad Lefton
photograph byNanae Suzuki
posted2023/03/13 11:00
明るい笑顔が印象的なヌートバーだが、野球人生においてターニングポイントとなった“ハードな夏”があった
「両親に『仕事をしろ』と言われたんだ。『ただ空きのケージを探して打ちまくる日々を過ごすのはダメだ』と。働いたよ。金づちを打ったり、ねじを回したりするような筋肉を使う仕事ばかりだった。週6日、朝4時に起きて現場に行って。仕事が終わったら打撃コーチの知り合いと一緒に打撃の練習をして。その合間にオンラインで大学の授業も受けた。かなりハードな夏だったけど、振り返ってみると、自分の人生や現実と向き合う経験になったのでとても良かったと思っている。野球選手にならなかったらどんな生活をしていたのかという勉強にもなったし、野球ができることに対して、より深く感謝するきっかけにもなった」
昨季後半メジャー定着…外野すべてのポジションで起用
それから1年も経たない2021年6月22日。ヌートバーは正真正銘のメジャーリーガーになった。2022年は108試合に出場したが、昇格したり降格したりしていた前半戦と、メジャーに定着した後半戦に分けてみると、14本塁打のうち10本は7月29日以降だ。後半戦に打率.240、出塁率.366、長打率.480、OPS(出塁率+長打率).846をあげた。
外野守備の評価も高い。侍ジャパンにはセンターを守れる選手が必要だった。ヌートバーはメジャーでのセンター経験は浅いが、外野全てのポジションで起用されている。センターも任せられるとカージナルスが判断し、夏場の交換トレード締め切りの際は投手陣補強のため正中堅手のハリソン・ベーダーをヤンキースに放出した。
ペナントレースが佳境に入った9月には6試合もセンターを任せられた。ポストシーズンでの2戦は、第1戦をライトでスタメン出場し、途中レフトへ。第2戦はセンターでフル出場した。